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服が欲しい2


 ある物を探しているとミグリが現れた。


「ユウマルシェルナシー様何かお探しですか」


「えっとね割り箸ってないかな」


「割り箸、それはいかがな物でしょうか」


 割り箸があるか聞いたが、ミグリは知らないらしい、そういえば異世界に来てから箸すら見たことないかもしれない、いつも食べる時はフォークとかスプーンだったし。


「えっと、やっぱりいいや」


「何か必要な物があるなら探しますが」


 一番必要だったのは割り箸だが、その他でも代用できるので、一度ミカロ姉さん達の所に戻ろうとした。


「いやいいよ、ミカロ姉さんに頼めばなんとかなるから」


「そうですか」


 ミグリから離れ、ミカロ姉さん達の所に戻った。


「ユウ、ゲームは決めましたか」


「うん、それでねミカロ姉さんに貸して欲しいのがあるんだけど」


「なにを貸して欲しいんですか」


「金貨だよ、一枚でいいから貸して、すぐに返すから」


「別に返さなくても結構ですよ、まだ持ってますから」


 ミカロ姉さんはポケットに入れていた一枚の金貨を渡してくれた、すぐにそれを手に隠して手を後ろに回した。


「これでどっちかに金貨を隠し持ってるから、当てられた方がゲームの勝ちでいいよ」


 ゲームは運勝負だ、右に持っていた金貨を動かさずにそのまま右で持っているので、これでミカロ姉さんかブラン姉さんのどちらかが当たるかもしれない、当たらなかった場合はやり直そうと考えている、そして前に手を出し、ミカロ姉さんとブラン姉さんの答えを聞く。


「右ですね」


「右だよ」


 ミカロ姉さんとブラン姉さんは同時に右だと言った、右手を開くと金貨があるのだが、この場合はどうなるのだろうか。


「もう一回やり直しですね」


「ちょっとミカロ、私が先に言ったと思うよ」


「いいえ、同時でした、さあユウもう一度隠してください」


 ミカロ姉さんに言われまた隠し、手を後ろに回す、右に隠していたが、今度は左手に隠そうと決め、金貨を左手に隠し、また前に出す、今度こそ決めてほしい。


「左ですね」


「左だよ」


 またか、左手を開け金貨があるのを見ると二人は。


「ブラン姉さん、もしかしてずるでもしてるんじゃないですか?」


「ミカロこそ、もしかして金貨に何か仕込んでるんじゃないの?」


「そんな訳ないでしょう」


 するとミカロ姉さんとブラン姉さんの口喧嘩が始まった。


「ユウ、ミカロ金貨じゃ怪しいから、私の金貨を使って」


 するとブラン姉さんが金貨を一枚渡してきた。


「もしかしたらブラン姉さんこそ金貨に何か仕込んでるんじゃないですか」


 こうなると思っていた、だがそうなるとどちらの金貨も使えない。


「私にお任せを」


 すると部屋にミグリが現れた、ミグリは綺麗にされた木の棒を二本持っていた。


「ユウマルシェルナシー様が欲しかった割り箸と言うのは分かりませんが、こういった物だと思い、探してきました」


 ミグリの服は少し汚れ、顔も少し泥が付いていた。


「ありがとうミグリ」


 木の棒を受け取ると、必要になると思い持っていた赤ペンを棒の先端に線を入れた、赤い線を隠し、木の棒をゆっくりと両方の手に一本ずつ持ちミカロ姉さんとブラン姉さんの前に差し出す。


「この二つの棒のうち、どっちかに線が入ってるから、入ってる方と行く、それでいいよね」


 ミカロ姉さんとブラン姉さんは頷き、二人ともバラバラの棒を選んだ、そして棒を引き、赤い線が入った棒を引いたのは。


「やったー、私だ」


 引き当てたのはブラン姉さんだった、先端には赤い線が入っており、ミカロ姉さんが引いた棒には入っていなかった、どうやらゲームの勝者はブラン姉さんのようだ。


「そんな、いい所までいけたのに、最後に負けるなんて」


 ミカロ姉さんは負けた事が悔しいようだ。


「ミカロ、これで私がユウに付いていっていいんだよね」


 ブラン姉さんは勝った事によって、笑顔でミカロ姉さんに語りかける。


「仕方ありません、ゲームの勝者はブラン姉さんです、ユウこれは服の代金です、くれぐれもブラン姉さんに服を選ばせてはいけませんよ」


 ミカロ姉さんから服の代金である金貨数枚を受け取った、そんな事は分かっている、頷き、するとミカロ姉さんはその場から走り出した。


「私は服を着替えないといけないので、これで失礼いたします」


 ミグリもその場から去ろうとしていると、駆け寄った。


「ミグリも一緒に服を買いにいこうよ」


「ユウなに言ってるの、私と行くんだよ」


「いいでしょうブラン姉さん、ブラン姉さんが勝てたのはミグリが木の棒を探してくれたのもあるんだし」


「うぅぅでも」


 ブラン姉さんは考えている。


「あの、私はいいですので、二人で行ってきてください」


 ミグリは言うが聞き入れない、だってミグリがいればブラン姉さんもそんな簡単には服を選べないはずだ。


「分かった、今回だけ、付いてきてもいいよ」


 ブラン姉さんはミグリが付いてくるのを許してくれた、これならミグリも付いてきてくれるはず。


「ブラン姉さんもいいって言ったしねミグリ」


「でもこの服じゃ外には」


 確かに今のミグリの服は少し汚れているので外には出られない。


「他って持ってなかったっけ」


「この家にあるのは一着でございます、一応洗濯はしているのですが、全てラボで干している最中でして、今からお風呂に入ってから取りに行こうと考えていたのですが」


どうやらミグリにもちゃんとした用事があるらしい。


「それだったら、仕方ないか、出来ればミグリにも来てほしかったんだけど」


「ユウマルシェルナシー様の命令であれば聞かない訳にはいきません、少々お待ちを」


するとミグリは一旦部屋から出ると一瞬で戻ってきた、顔の泥は落ちたが服の汚れは落ちていない。


「こんな格好の私でもよろしければお供いたします」


ミグリも付いてきてくれる、これならちゃんとした服を選べそうだ、こうしてブラン姉さんとミグリと一緒に街まで服を買いに行く。

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