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暗躍しようとしている


「兄貴遂に産まれたようですぜ!マルシェ家に男が!!」


「そうか、良くその情報を掴んだ、これで後は拐うだけだぜ! それであっちとは連絡がついてるんだよな?」


「ええ、いつでもいいとさっき連絡が来ました」


「よし、だったら明後日だ、確かマルシェ家では産まれた後に、大々的に祭りを開くみたいだからな、その祭りの時は浮かれている筈だ、その時を狙おう」


「さすがは兄貴だ、俺兄貴にずっと付いていきますから」


「そうだろ、そうだろなんたって俺の事を街で知らないやつなんていないからな」


 そんな笑い声をあげながら、二人の男達が暗躍しようとしていたが、そんな事が起こるなんて誰も考えてはいなかった。


「これ食べれるのかな?」


「ちょっとブラン! まだ昨日産まれてきたばっかりなのに!! そんな物食べれる訳ないでしょ!」


「だけど美味しいよ、もしかしたら食べれるかもしれないじゃない!」


 昨日と一緒の部屋にいて、目が覚めた時には既に周りには姉達がいた、起きてすぐにご飯の話しになりこんな状況になっていた。


「まだそんな物食べられませんから、それよりもブラン、なんでここに街で売ってる筈のホットドッグがあるのかしら?」


「それは、あはは、街で買ってきたから」


「またあなたは街に行ったんですか、お母様からも街には行くなって、ブランに頼んで下さいよ」


「でも、このホットドッグは本当に美味しいのよね、もぐもぐ」


「お母様!!」


 黒髪ロングの女性はクラと呼ばれている、どうやらこの姉達の中で長女らしい、長女は母親にも言っているが、その中でも銀髪の姉はもう既にホットドッグを食べ終わりそうな所に気づいた。


「もぐもぐ」


「もうシルまで! ここにはまともな人はいないのですか」


「諦めなよクラ姉さん、ここにまともな人がいないのはクラ姉さんが一番分かるでしょ」


「ルンキ! あなたも何故ホットドッグを食べながらそんな事が言えるんでしょうか!!」


「クラ姉さん作ってきたよ」


 すると部屋にはいなかった姉の一人が、何かを持ち部屋に戻ってきた。


「ありがとう、温度は適切みたいね」


「そりゃね言われたからには、ちゃんとしないと」


「あなただけよミカロ、この中でもまともなのは」


「え、でもこれ作れたのはルミ姉さんがいたからだよ」


「そのルミは一体どこに行ったのかしら」


「あれ? さっきまで後ろにいたのに」


「あぅあぅ」


「はいはい、今からあげるから、大人しくして下さい」


「クラ姉さんずるい! 私もユウにあげるの!!」


「ブラン今邪魔したら本気で怒るからね」


「うっ、分かりました、少しでもいいから私にも手伝わせて下さい」


「そんな事言ってもダメよ、今回は私とミカロがあげるから、あなた達は大人しくしてなさい」


 遂にご飯が届いたらしい、クラ姉さんが抱いてくれて、それを口にした、いつぶりなのかは覚えてないが、その甘さだけは覚えていた。


「こんなに早く飲むなんて、本当にお腹が空いてたみたいね」


「クラ姉さん、私もあげてみたい!」


「いいわよ、気を付けてね」


 クラ姉さんは抱きしめたまま、ミカロと呼ばれた姉に哺乳瓶を渡そうとしたのだが、それを邪魔した人物がいた。


「そんな事させるかー!!」


 さっきまで部屋にはいなかったのに、上から急に現れた、皆は驚きに包まれていたのか、クラ姉さんに抱かれていたのに、急に現れた姉の胸にいつの間にか抱かれていた。


「ちょっとルミ姉さんなんで邪魔するの?」


「ふふ、ミカロ何か忘れてないかな、この哺乳瓶の中にあるものの作り方を教えてあげたのは誰かな」


「それはルミ姉さんですが、今は私が飲ませてあげようとしてたんですけどね」


「ルミ一体どこに行ってたんですか? それに早くユウと哺乳瓶を返しなさい」


「さっきまで外で情報屋と話してたの」


 その言葉が出された瞬間、部屋にいる姉達全員が反応した、皆はホットドッグを食べるのを止めて、すぐに立ち上がった。


「そうですか、それでは一旦皆部屋から出ましょうか、ルミ、ユウをお母様に」


「はいはい、ユウ私の作ったミルク美味しかったかな」


「あぅあぅ」


 美味しかったと言ったが、どうやら伝わったみたいだルミと名乗る姉は、チュッと頬にキスしてきた。


「それは良かった、また今度作ってあげるからね」


「ルミ、ユウは皆の物だよ」


「ああ、シル姉さんそんな髪を掴まないで、せっかく整えたのに」


 そのまま連れて行かれる形で姉達の中で残ったのはクラ姉さん一人だけだった。


「全く、せっかく男の子が産まれて喜んでいる所なのに、早く始末しないと」


 なにやら不穏な言葉が聞こえてきたが、クラ姉さんも皆の後を追いすぐに部屋から出ていってしまった。


「あなたは今考えなくても大丈夫よ、あの子達はあなたを絶対に傷つけないから」


 母親には考えている事がバレると言われるがそうらしい、母親は哺乳瓶を持ち口に咥えさせられて飲むしか無かった。

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