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姉達に囲まれる


 次に目を覚ましたのは誰かに抱かれながらの時だった。


「良かったですね! 初めての男の子ですよ!」


 そんな声と共に目を開ける事ができた、すると周りには女性が多く、男性の姿が見えなかった。


「ちっちゃい」


 手を合わせてこられ、少し恥ずかしい気持ちになりながらも、抱いていた人物に顔を向けた。


「あら、私の事分かる? あなたのお母さんですよ」


 微笑まれると、抱かれていた場所から離れさせられた。


「この子男の子なんだって、私達に弟が出来たのよ!!」


「あぅ」


 まだ言葉は話せないらしく、赤ちゃんの言葉になっていた、すぐに抱かれた人物の顔を見ると、とても美人な女性に加えて髪が金髪だった。


「可愛い、お母様この子の名前は、もう決めたの」


「いいえ、まだ決めてないのよ、もう少ししたらお父さんが来るから、その時にはもう決めてるんじゃないかしら」


「あの、お母様この子の名前は私達で決めちゃダメかしら?」


 すると黒髪ロングの女性が呟いていた。


「でも、あなた達の名前もお父さんが決めたから、この子にもそうしてあげるべきなんじゃないの」


「お母さん体動けるかな」


「ええ、まだ少し痛むけれども動くことは可能よ」


「だったらこの部屋じゃなくて、隣の部屋に行きましょ」


 母親と思わしき女性はベッドから立ち上がり、銀髪ポニーテールの女性の肩に掴まり部屋から出ていってしまった。


 そして部屋に残った数人の女性達が周りに集まりだした。


「ルンキそろそろ私にも抱かせてよ?」


「ダメ!もう少し私が抱いていたいの」


 顔をすりすりされ、女性の顔が柔らかい感触を確かめている所にドアが開いた。


「遅くなってすまない、それで産まれたのか?」


 初の男性が入ってきて少し安心した、部屋はさっきまで明るい声があったのに、男性が入ってきた瞬間に全員黙ってしまった。


「はいお父さん、元気な男の子みたいよ」


「ああ」


 暴れて、金髪の女性から離れたくない意思を見せた。


「離れたくないみたい、ほらお父さんだよ」


「いやいいんだ、すぐに戻らないといけなくてな、顔だけ見に来たんだ、それで母さんはどこだ?」


「お母様なら今シルと隣の部屋で、話をしておりますお父様」


「そうか、この子の名前を決めたんだが、どうしようか」


「それなら私が直接お母様にお話しておきます、この子の名前を聞いてもよろしいですか」


「じゃあ頼むよクラ、この子の名前はヴァン・マルシェルナシーに決めたから、そう母さんにも伝えておいてくれ」


「分かりました、ですがお母様も初の男の子で喜んでいまして、さっきも名前は自分でつけたいと申しておりましたよ」


「その時は母さんに任せるよ、本当に戻らないといけないから私はもう行く、母さんによく頑張ったと伝えてくれ」


「はい、お父様任せて下さい!」


 男性が部屋から出ていくと、さっきの明るい声に戻った。


「本当はこの子の名前を私達で決めようとしてるのに、なんで嘘なんて吐いたの?」


「ああ言えば名前を決めた時に、お父様はお母様に何も言えないでしょ」


「さすがクラ姉さん、多分シル姉さんもそろそろ終わったんじゃないかしら」


 金髪の女性が言っていると、さっき出ていった二人の女性が部屋に戻ってきた。


 だが母親の彼女は明らかに元気が無くなっていて、汗をかいていた、肩を貸している彼女は笑顔のままだった。


「シル姉さんどうだった?」


「バッチリ!!」


 ピースして、何がバッチリなのか分からないが、これで分かった、この部屋にいる女性達は母親を除き全員が姉だ、しかも六人も姉がいる。


 まさか異世界に転生しても姉が出来るとは、何かの運なのだろうかと考えていた所だったのに突然抱くのを止められ上にあげられた。


「この子の名前どうしようか」


「はいはい、私考えてきたよ、この子の名前はユーマ・マルシェルナシーなんてどうかな」


「確かにカッコいいけど、もう少し考えてあげたらいいんじゃないの」


 茶髪の女性と金髪ツインテールの女性が話し合っていた。


「何言ってるの前に皆で考えたでしょ、この子の名前はアメ・マルシェルナシーでしょ」


「でもあれって殆どクラ姉さんが考えた名前で皆決めたなんて一言も言ってないよ」


「何ブラン私に逆らうの」


「この子の名前ユウなんてどうですか?」


 すると黒髪ツインテールの女性が言った名前に反応してしまった、女性達は一斉にこちらに目を向けてきた。


「どうやらこれで決まったようですね」


「そうだね」


「えーでも私が考えた名前もいいと思うんだけどな」


「ブランいい加減諦めなさい!!」


「名前決めたんなら、そろそろ代わってよルンキ」


「もう少しだけ、だって名前が決まってから、この子はしゃいでるの」


「これからよろしくねユウ」


 また手を合わせられ、周りの女性達を見た、この人達全員が姉なのはとても嬉しい、だって全員美人だから。


「あぅや」


 頷きこちらからもよろしくと赤ちゃん言葉で言ったが伝わってるかは別問題だ。


「あーシル姉さんずるい! 私もやる!!」


 茶髪の女性がすぐに逆の手を合わせてこようとしたが既に抱いてある金髪の女性が手を合わせてきた。


「ほら、あなた達名前も決めたんならそろそろその子も寝かせてあげなさい、まだ産まれてきてすぐなんだし疲れてるでしょう」


「お母様が私達に命令できる立場なの」


 黒髪の女性に言われた瞬間背筋がぞっとした、すると母親は何も言わなくなった。


「仕方ない、ほらルンキ、ユウも疲れてるようだから寝かせてあげましょう」


「はーい、また明日来るからねユウ」


 金髪の女性から母親に抱かれて、女性達は部屋から出ていってしまった。


「また明日か、あなたもこれから大変ねユウマルシェルナシー」


 母親に名前を呼ばれ、何かされたのか急に眠くなってきた。


「今日はもう寝なさい、そうね子守唄でも聞かせてあげましょう」


 母親の子守唄を聞きながら深い眠りについた。

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