ユウのプレゼント選び終
一体誰が食べさせてくれるのか決まる、クラ姉さんの一言で全て決まるのだ。
「食べさせるのはユウ」
「あぅ」
は、クラ姉さんは一体何を言っているんだ、何故自分に食べさせなければいけないんだ。
「まさかと思いますが、これは誰が書きましたか?」
クラ姉さんは開けた紙を姉さん達に見せるようにした、するとミカロ姉さんが手を上げた。
「ミカロあなたでしたか、いいですかユウに食べさせるのになんでユウの名前を書いたんですか?」
クラ姉さんの意見はもっともだ。
「私だってユウに食べさせたいけど、ユウがクレープを食べさせてくれる事を想像したら、いつの間にか書いてたんだよ」
ミカロ姉さんがまさかそんな事を想像してたとは、これじゃあ一体どうなるのか。
「これではダメですね、ミカロを抜き、ユウもう一枚引いてくれますか」
またクラ姉さんに箱を差し出され、箱の中に手を入れごそごそと一枚の紙を取り出した。
「それでは正真正銘ユウに食べさせるのは」
クラ姉さんが紙を開き名前を確認すると。
「またユウですか」
また俺の名前が書かれた紙があったようだ、するとクラ姉さんは箱の中に手を入れ、数枚の紙を開き名前を確認していた。
「これもユウ、これもユウ、これもユウ、一体どうなっているのですか、あなた達全員ユウの名前を書いていたんですか」
「ユウに食べさせてもらいたいのは私も同じ」
「シル姉さんの言う通り、私も同意件だよ」
「ん? これ少し変だよクラ姉さん」
ルンキ姉さんが開かれた紙を見ながらクラ姉さんに確認していた、いや変なのは姉さん達だよ、確かに俺に食べさせて欲しいのは分かったけど、さすがにクラ姉さん以外名前を書かないなんて。
「あれ、ルンキの言う通りだね、クラ姉さんなんで五枚しか開かれてないの?」
ブラン姉さんに言われて開かれた紙が五枚しかない事に気づいた、まさかクラ姉さんも俺の名前を。
「何をバカな事を私はちゃんと書きましたよ、自分の名前を」
クラ姉さんは箱の中から紙を取り、姉さん達に見せるように開けた、確かに名前は書いてあるが。
「ユウに食べさせて欲しいって書いてあるね」
「何を言ってるんですか、ちゃんと名前が書かれているでしょう」
「うん、書かれてるね小さい文字だけど」
ルミ姉さんが確認したが、これでは全員が俺の名前を書き食べさせて欲しいようだった。
「よお、嬢ちゃん達、クレープ出来上がったけどどうするんだ」
屋台トラックの店主に呼ばれると、クラ姉さんとシル姉さんが取りに行くのだった。
「おっ可愛い赤ん坊だな」
「そうでしょう自慢の弟なんですよ!!」
「そう、この世界で最も愛している弟」
クラ姉さんとシル姉さんの言葉に店主は苦笑いだった。
「まあ俺はこの街に来たばっかりだから、あんまり知らないけどよ、やっぱり姉弟は仲良くが一番だな」
「おじさんは一人っ子なの?」
「いや、妹がいるよ、まあその妹も今は大きくなって、嫁にいったけどな」
「そうなんだ、やっぱり寂しい?」
「そうだな寂しいな、まあ連絡は取ってるし、結婚相手も安心したからな、幸せならそれでいい」
「私達はそうはいかないかもしれないですね」
「何か言ったか?」
「いえ、何もクレープもらってもよろしいですか?」
「あいよ、もしかしたらまたどっかで会うかもな」
そうしてクレープを受け取り屋台トラックは走り出した。
「何か話してたんですか?」
「ええ、少し話を、あの今回ですけど全員でユウに食べさせると言うのはどうでしょうか」
「クラ姉さんがそんなこと言うなんて珍しいね」
「まあユウが何を食べたいかにもよりますけどね」
確かにそうだ、ブラン姉さんが選んだメニューは三種類なようだ、チョコ、生クリーム、バナナクレープの三種類だ、この中で食べたい物は。
「あぅい」
「どうやらユウは生クリームクレープを食べたいようですね」
「これなら全員で食べさせられそう」
「なら順番! 順番決めよう!!」
「順番なら今回のプレゼント選びの順番でいいでしょう」
クラ姉さんの一言でブラン姉さんはしゅんとしてしまった、ブラン姉さんはプレゼント選びが最後だったので食べさせるのも最後なようだ。
「それでは私からユウ口を開けてください」
「あ、あぅ」
「はい、あーん」
パクリと一口クレープを食べた、濃厚な生クリームの味がした。
「美味しそうに食べますね」
もぐもぐと食べていると、すぐに次のクレープがやってきた。
「今回は二番手だったからね、はい、ユウ口開けて」
「あぅぅ」
まだ入っているアピールをして、口を開けなかった。
「そっかいいよゆっくりで」
そして口の中のクレープを食べ終わり口を開けた。
「あーう」
「はい、あーん」
また一口クレープを食べた、ルンキ姉さんはすぐにルミ姉さんに変わったが、ルミ姉さんは写真を撮りながら俺が食べるのを待っていた、今日は写真撮ったりしないと言っていたが、我慢出来なくなったのだろうか。
「あぃあ」
「ごめんねユウ、もうちょっとだけだから、ほらこっち向いて」
ルミ姉さんに言われちゃんと言われた方向を向いた、ルミ姉さんが写真を撮ってる間にクレープは食べ終わった。
「はい、ユウあーん」
「あーう」
また一口クレープを食べた、ルミ姉さんの次はシル姉さんだ、するとシル姉さんは俺をミカロ姉さんに抱かせた、そっかシル姉さんが抱いてたんじゃ食べさせられないからな、シル姉さんはニコニコとこちらを見て、食べ終わるのを待っていた。
「あぃあぅ」
「なくなったんだね、ユウあーんして」
また口を開け、クレープを食べた、あと少しでクレープもなくなる。
「ありがとねミカロ」
またシル姉さんに抱かれ、次はミカロ姉さんの番のようだ、ミカロ姉さんは食べ終わるのを見ると頬っぺたを触ってきた。
「ユウ、口の周りに生クリームがついてますよ」
ミカロ姉さんは生クリームを手で拭き取ると、口で舐めていた、すると後ろに立っている姉さん達と抱いていたシル姉さんがミカロ姉さんの事を凝視していた。
「あ、あ、あぅ」
「どうかしましたかユウ?」
「ミカロ今のは一体なんでしょうか」
「今のはユウの口に生クリームがついていたんで、拭き取ったんですよクラ姉さん」
「じゃあ舐めることはなかったんじゃないですかね」
「いいじゃないですかクラ姉さんだってユウの口についてたらやってたでしょ」
ミカロ姉さんの一言に姉さん達はうんうんと頷いていた、するとクレープを食べ終わったのをブラン姉さんが見ていた、すぐにミカロ姉さんと替わるとブラン姉さんは最後の一口のクレープを食べさせてきた。
「ユウ、あーん」
「あーう」
最後の一口を食べ終わると、姉さん達もクレープを食べ出した。
「どうしたのユウ?」
「あぅあぅあ」
チョコクレープも気になり食べていたシル姉さんを見た。
「私のクレープ食べたいのユウ」
「あぅ」
「一口あげるよ、はいあーん」
シル姉さんはクレープを食べさせてくれた、しかも姉さん達には気づかれぬようにだ。
「あーう」
「これは内緒だね、ユウ」
シル姉さんはウィンクしながら人差し指を鼻に当てていた、姉さん達がクレープを食べ終わると、皆で家に帰り始めた、既に辺りは暗くなっているので結構な時間プレゼント選びをしていたようだ。
「ユウどうでしたか、プレゼントは気に入りましたか」
「あぅあ」
気に入ったアピールをすると、姉さん達は喜んでいた。
「それなら良かった、じゃあ今日は帰ったら早速あれを着てみましょうか」
そして家に帰ると、クラ姉さんが買った服を着せられ、しかもパジャマはウサギのペアルックだクラ姉さんも着替えていた。
「クラだけずるい!!」
「ずるくありません!! ちゃんとユウに似合う服を買っただけです!!」
家では姉さん達の言い合いが始まってしまった、後日姉さん達も一緒のペアルックを買いに行き、大人用だけは女性服屋から消えたらしい。




