ユウのプレゼント選び1
二歳になった頃にハイハイで歩く事が可能になった、まだ立って歩くのは不馴れなので、姉さん達に止められた。
「いいですか、今日はユウと遊ぶ日ですが、特別な日にもなったので全員で出てきました、中々こんな機会なんてないのですが今日は特別です」
「ユウがハイハイ出来たから、皆でプレゼントを選んで遊ぶんだよねクラ」
「あれは凄かったね、今回は写真じゃなくて動画で撮ったんだけど、最高の動画だったよ」
「えールミ姉さんだけ勝手に観たの、皆で観ようって約束だったじゃん」
「ちょっとミグリ、モグ勝手に行こうとしないの、今回モグを連れてきたのは、ユウの護衛として役に立ってもらうことを忘れないでよ」
「忘れてないよ、なあミグリ」
「はい、私も先輩と一緒にユウマルシェルナシー様の護衛を頑張ります」
「でもさすがに私達が全員揃ってこんな所に来たら目立つようですね」
ミカロ姉さんの言う通りだ、既に街は姉さん達を中心に騒ぎになっていた。
「早くしないと時間がなくなりますね、いいですか決めた通り一人一人順番にユウと遊び、プレゼントを選びましょう」
「じゃあ最初は私から」
「何を言っているんですかシル、順番ならもう決めたでしょう、勝手に変えないでください」
「ぶぅ結局クラが勝手に順番とか決めてたじゃん!!」
「何を言っているんですかこれはユウが選んだ順番です、シルも文句はないはずですよね?」
「違う、私は知ってるあの時ユウはふらふらだった、それで必然的に近くにいたクラの所に行くしかなかった」
「ですがふらふらにしたのは私ではありません、勝手にユウに変な飲み物を飲ませた、ブランのせいですよ」
「それは分かってる、だからブランの順番はユウに選ばせず最後にした、けどクラならふらふらのユウがどこに行けるか分かってたんじゃないの?」
二人の間でバチバチと火花が散っていた、でもあの時変な飲み物を飲んだのは覚えてるのだが、それ以降が全然思い出せない、順番は正気に戻った時には既に決まっていた。
「さあ、そろそろ行かないと本当に時間がなくなってしまうので、ユウ行きましょうか」
「あぃや」
「ふふ、今日はお姉ちゃんに任せなさい、ユウの好きな物を沢山買ってあげますよ」
クラ姉さんに抱かれ歩き始めると、姉さん達の姿はだんだんと遠くなって見えなくなった。
「最初はここです、ここは私のお気に入りの店なんですよ」
クラ姉さんに連れてこられた場所は服屋だった、しかも女性用の。
「あらお久しぶりですね、クラ様」
「ええ、今日はこの子の服を買いに来たの」
「ですが、その子はユウ様男の子ですよね、当店は女性服専用の店ですが」
「そんなの知っています、いいからこの子に似合う服を何着か用意して下さい」
「少々お待ちください、すぐに持って参ります」
クラ姉さんの声に女性の店員はすぐに走り出し行ってしまった、まさか俺に女性服を着させる訳じゃないよねクラ姉さん。
「これなんかどうでしょうか?」
「いいですね、試着させてもらってもいいですか」
「はい、それでは私が」
「結構です、汚い手でユウを汚さないでください」
「し、失礼しました、試着室はすぐそこにあるので」
クラ姉さんと一緒に試着室に入ると、クラ姉さんは俺が着ている服を脱がすと、女性用の赤ちゃん服に着替えさせた。
「本当にユウは何を着ても似合いますね」
試着室の鏡を見たが、まだ赤ちゃんなので服は似合うのだが恥ずかしくなってくる。
「いいですね、これは買いですね」
試着室を出る前に服を脱がし元通りの服を着せてくれた、やっぱりこっちの方が落ち着く、正直女性服は苦手だ、昔の記憶が蘇ってしまう。
「これは買わせてもらいます、ん、それはなんですか」
「これはパジャマペアルックです、まあ殆ど親子用に作られたので、赤ちゃんと大人用なんですけどねあんまり人気はないんですよ」
「これも買わせてもらいます」
クラ姉さんは即決で買うのを決めてしまった、しかもウサギのパジャマだ。
「またのお越しをお待ちしております」
クラ姉さんは服を買い、女性店員が頭を下げながらクラ姉さんは服屋から出た。
「次はオモチャでも買いましょうか、ユウ」
オモチャの単語を聞くと嬉しくなる、クラ姉さんはオモチャ屋さんに直行した。
「ユウの服見れなかった」
「残念だね、私も写真撮れなかったし、今日は帰ったらユウに着てもらって撮ろうかな」
「もぐもぐ、私は、もぐもぐ、クラ姉さんがユウにどんな服を買ったのか、もぐもぐ、気になる」
「女性服でしたからね、まさかクラ姉さんも狙ってたとは、これじゃあユウと一緒に行けないじゃないですか」
「ブラン姉さん食べながら喋らないでください、後さっきからブラン姉さんが邪魔で、ユウの事が見えません」
「おっとごめん」
クラとユウを尾行している集団がいた。




