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懐かしく安心する


「目が覚めた、キツかったら言ってね」


椅子に縛り付けられて目が覚めた、腕を縛っている途中のようだ。


「ここにはあまり人は来ないからね、叫び声や悲鳴を上げても助けはこないよ」


「ここは一体どこなんだ」


「ここは私の実験室だよ、でも安心して君は実験には関係ない君は必要な血を私にくれるだけでいい」


「血ならさっき吸わせただろ」


「まさかあれだけで満足したと思っているのか、君の血はとても美味しかった、いつもの私なら人間の血は一度吸うだけで、満足するのだが君の血はまた吸いたくなってしまうほど美味しい」


吸血鬼は注射器を取り出してきた。


「大丈夫痛いのは数分だ、目的の血の量さえ分け与えてくれるだけでいい」


縛った腕に注射器の針を刺す、すると注射器の中にみるみる血が溜まっていく、一杯になると注射針を抜く、それから同じ動作を繰り返す。


「おーい、大丈夫」


いつの間にか、終わっていたらしい。


「まさか、貧血で気を失うなんてね、でも目的の血の量には達成したからお礼を言うよ」


「だったら解放してくれ、もう用はないだろ」


「なんで」


「だからもう目的は達成したんだろ、だったらもう俺には用はないはずだ」


「解放するなんて嫌だよ」


「なんで!?」


「だって私は血をくれただけで解放するなんて一言も言ってないよ、それに君みたいな人間は解放せずに私の側に死ぬまで置いておきたい」


愛の告白のような言い回し、だが吸血鬼の話を阻むように、突如として実験室の天井を突き抜け、飛び降りてきた人物がいた、顔はフードで隠れていた。


「吸血鬼? 滅びたって聞いていたけどまさか生き残り」


「何者だ!?」


「そんなのあなたは知らなくていい、それよりもその子を返して」


縛られている俺の方を指差す。


「目的はこの子ってわけ、でもそれは無理な話ね」


吸血鬼は近くに置いてあった注射器を一本投げただが分かっていたようにそれを避けた、注射器は床に落ち吸血鬼と俺はそれをみて驚いた。


「簡単にいく訳ないか」


吸血鬼の体は分裂し始め複数の蝙蝠に変身した。


「これじゃあ避けるのも不可能よね」


「吸血鬼の弱点って知ってる」


「私に弱点なんかない」


蝙蝠は体に噛み付くように向かっていく、一瞬避けると思ったのだが複数の蝙蝠が体に噛み付いた、噛み付いた所から出血するが吸血鬼の様子が変だ。


「吸血鬼の弱点は血を欲する所、私の体の血を吸えば麻痺する、数時間で麻痺は消えるけど今度あの子の前に現れたら今回みたいに見逃したりしないから」


蝙蝠に変身していた吸血鬼は元の姿に戻ったようだ、耳打ちすると縛られている俺の方に駆け寄ってくる。


「もう大丈夫、安心して」


頭を撫でられ、不思議と悪い気はせずむしろ懐かしい安心するような感じだ、手足の拘束を外され抱かれ実験室から連れ出された。


「ユウ君良かった無事だったんだね」


数分もしないうちにある部屋に連れてこられると、そこにはセレステ・ツー・サイドがいた、再会早々抱きついてきた。


「信用できるか怪しかったけどありがとう」


「あなたの為じゃないから」


それだけ伝えると部屋の隅のベッドに座りこちらに目線を向けてきた。


「でも無事で本当に良かった、ずっと心配してたんだ」


「俺の事はいいですけど、それよりもこの部屋は」


「ここは獣種の国の国王の城の中にある部屋だよ」


「獣種の国の国王の城」


どうやら目的だった場所に着いたようだ。


「ユウ君大丈夫、顔色悪いみたいだけど」


セレステ・ツー・サイドは顔色が悪い事に気づいたようだ。


「平気です、血が足りないだけで、少し休んだり食事をすればすぐに回復します」


「だったらさっき城の連中が食事を運んできてたんだそれでよかったらでいいけど」


ベッドの側に置かれていた豪華な食事を目の前に差し出してくる。


「ありがとうございます」


全て食べ終わる頃には疲れが出てすぐに眠くなってきた。


「ユウ君疲れたでしょ、今日はもう休んで」


「じゃあお言葉に甘えて、少し休ませてもらいます」


ふかふかのベッドに横になるとすぐに眠ってしまった。


「それでユウ君をこんな目に合わせたあいつは殺してくれたの」


「昔の私なら殺してたけど、今はそんな簡単には殺したりはしない、すればユウを悲しませるだけだから」


「それにしても何故あなたがこの国に来たの、しかもユウ君と知り合いみたいだけど」


「詮索はしないで、私はあのユウの姉とか名乗る女を捜しにきたの」


ユウ君が寝た後はすぐにフードを外し顔を晒す悪魔ルンキ。


「改めてお礼を言わせてユウ君を助けてくれてありがとう」


「だからあなたの為にやったんじゃない、私は」


「それでも私じゃ多分ユウ君を助ける事は出来なかった、あの吸血鬼がこの国を裏で支配しているのは知っていたから、私がユウ君を助ければきっと魔悪大陸に噂が拡がって母さんにも迷惑をかけてしまっていただろうから」


「魔王の娘に頭を下げられても嬉しくない」


「まさか悪魔にそんな事を言われるとは、まあ正直好かれていないようだね」


すると悪魔ルンキと話している最中部屋の扉が叩かれる。


「セレステ・ツー・サイド様夜分遅くに失礼します、国王様がお呼びですので至急ご同行願います」


「行ってユウの事は私が様子を見てるから」


部屋から出ると、城の見回りをしていた警備隊の一人に連れられる。

知っている方もいらっしゃるかもしれませんがツイッターと活動報告にてお知らせをいたしましたのでよければ確認の程お願いいたします。

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