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悪霊剣サディスティ


「まさか本当にその剣を持っているとは驚きです」


「ラヴァ、どうしたんだずっと姿を見てなかったが」


「ユウ様、すみません私はユウ様を裏切ってしまいます」


 ラヴァは光輝く剣を構える、いつの間にかバケノの持つ光輝く剣とラヴァの持つ光輝く剣が交わり、火花が散る。


「お前急に襲ってくるなんて何考えてる」


「元々お前が悪いのだ、お前が力なんて受け取らず、そのままでいれば私はユウ様を裏切ったりしなかったのに」


「そんなこと言ったって知るか」


 バケノとラヴァは互いの剣同士が交わると同時に離れる。


「私は命令されてお前自身を壊しにきたのだ、それもこれも、全てお前たち悪転の剣を作り出した魔界王が悪いのだ」


「なんだあの爺の事知ってるのか、力の事も知ってるみたいだしよ」


「お前が持っているその剣の名は悪霊剣、お前が持つには相応しくない」


「この剣そんな名前だったのか」


「悪霊剣とは命を犠牲にして生み出せるもの、お前が悪霊剣を持ったという事は誰かの命を犠牲にしたこと」


「俺は誰の命も犠牲にしてない、あの爺が勝手にくれたんだ」


「そんなのはあり得ない、あの魔界王が安々と悪霊剣を手渡すなど」


「その魔界王って一体どんな人物なんだ」


 会話に横入りする、ラヴァとバケノは何も答えない。


「魔界王とは魔王達の親的な存在だよ」


 セレステ・ツー・サイドが家の玄関から出てくる。


「外から物凄い物音がしたから見に来てみれば、一体なんの騒ぎ」


「なぜ魔族がここに」


 セレステ・ツー・サイドが現れると、ラヴァはじっと凝視する。


「私から敵じゃないって言っても無意味か」


「貴様の相手をしている暇はない、用があるのはお前だバケノ」


 ラヴァはバケノの後ろに一瞬で移動する、バケノと同じようにワープしたように見えた。


「私の事を無視するとか酷いな」


 ラヴァの剣での攻撃をセレステ・ツー・サイドが足を使い剣を弾き飛ばす、剣はバケノの元に落ちる、バケノが剣を拾うと、バケノの持つ光輝く剣が漆黒に変わり始める。


「一体何が起こってんだ!?」


「全くお前は何をしているんだ、そんな軽はずみに精霊剣を持つか普通」


 ラヴァがバケノから剣を取り戻す。


「ちっ、まだ完全な状態になる前に壊したかったが、もう遅いか」


「バケノ大丈夫か」


 バケノは漆黒の剣を持ったまま動かなくなっていたので様子を探るがバケノから返事はない。


「ふむこれが我の姿か」


「バケノ?」


 バケノの口調は普段と違うことに戸惑う。


「記憶が確かなら貴様はユウだな」


 バケノは漆黒の剣先を顔に当てる。


「一つだけ我はお前の知るバケノではない」


「俺の知るバケノじゃない何を言ってるんだ」


「我の名を知る者は数少ないが、そこの精霊剣を持つ者よ、貴様は我の正体を知っているのではないか」


「お前の名は悪霊剣サディスティだな」


「その通り我の名はサディスティ」


「悪霊剣、どこかで聞いたことがあるような」


「貴様、いい顔をしているな、我の下僕にしてやってもいいぞ」


「そんなのに興味ないので結構です」


「それで俺の知っているバケノはどうなったんだ」


「体の奥底に封印した、我が体に憑依したのでこの体を操るのは我だと覚えておけ」


 ラヴァがバケノの後ろにワープする、剣はバケノの胸を突き刺すが、平気な顔をしていた。


「面白い事をするな完全体な我に貴様のような完全体じゃない者に殺せると思っているのか」


 バケノは漆黒の剣から突風を巻き起こす、ラヴァは吹き飛ばされる。


「止めろバケノ」


「だから言っただろユウよ、我はバケノではない悪霊剣サディスティだ」


「ユウ君を傷つけるなら私が相手をしようか」


「おっとそんなに怒りを露にするな、ただの冗談じゃないか」


 突き飛ばされ、セレステ・ツー・サイドが受け止める。


「そう睨むな、目的は別にあるからな」


「何を言って」


 剣を振るう、家の壁が半壊するたしかあそこはサーセを監禁していた部屋のはず。


「君の目的は奴だったか」


「まあな」


 半壊した壁からサーセが覗き込む、それを見た悪霊剣サディスティはサーセの後ろにワープする、サーセの首を掴み持ち上げた、サーセは暴れて逃れようとするが、解放するようには見えない悪霊剣サディスティはそのままサーセと共にワープする。


「どうやら私が吹き飛ばされている間に終わったようですね」


 二人がワープした直後にラヴァが戻ってきた。


「ラヴァ、あのバケノに憑依した悪霊剣サディスティは何者なんだ」


 ラヴァに説明を求めるがラヴァは無言を貫く。


「失礼します」


 ラヴァは別れの言葉を口にしワープして消える。


「ユウ君?」


「ちょっと部屋に戻るよ」


 セレステ・ツー・サイドに言い残し、家の中に入る、部屋に着くと、ベッドに横になった。

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