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セレステ・ツー・サイドの約束

 

 治療院には見覚えのある顔が何人かいた、だが治療院で働く魔族達は俺の素顔を見ていないので覚えている訳ない、なので騒がれても仕方がなかった。


「なんで人間が魔悪大陸に」


「そうよ、誰か早く先生を呼んできて」


「あの、落ち着いて俺達は魔王アイル・ツー・サイドさんにお願いがあるだけで」


「人間が魔王様にお願いだと」


 突然魔族達の間を通り、シー・サイアス・タイツが現れる、前に会った時よりも敵意を感じる。


「それは興味深い、人間がなぜ魔悪大陸に侵入できたのもそうだが魔王アイル・ツー・サイド様の治療院と知りながら、その容姿のままこの治療院に現れるとは」


「急ぎの用事なんです」


 俺は真剣な眼差しをシー・サイアス・タイツに向ける、だが彼女にはそんな眼差しを向けても無駄だったようだ、魔族達に囲まれ、逃げ道を塞がれる。


「人間のお願いなど聞くとでも思ったのか、お前らにはここで死んでもらうぞ」


 シー・サイアス・タイツは体を構え、一撃を加えようと攻めてくる、その攻撃を全て避ける、シー・サイアス・タイツは息が荒くなり先程よりも最初よりも攻撃が甘くなる。


「なぜ一撃も当たらない、人間は私達魔族よりも弱いはず」


「いや、だって遅すぎですよ、姉さん達の方がもっと速いですよ」


 攻撃してきたシー・サイアス・タイツの腕を掴み、背中に回し拘束する。


「話を聞く気になりましたか」


「そんなのないと言ったらどうする」


「このまま魔王アイル・ツーサイドに会わせてもらうまでは申し訳ないですが拘束させてもらいます」


「これは一体何があったのでしょうか」


 背後から気配がする、振り向くと、魔王アイル・ツー・サイドの娘セレステ・ツー・サイドがバケノを捕まえていた。


「まさかこんな形で会うとは思っていなかったのですが」


 なぜか知らないが彼女は俺の事を知っているらしい。


「俺達は別に危害を加えるつもりはありません、ただ魔王アイル・ツー・サイドにお願いがあって会いにきただけなんです」


「じゃあシー・サイアス・タイツ様を解放してもらえないかな、それじゃあ危害を加えているのと一緒だよね」


「なら、バケノも解放してもらおう」


 それだけ伝えただけで、セレステ・ツー・サイドは簡単にバケノを解放した、その後にシー・サイアス・タイツを解放する。


「それでなんで先生に会いたいのかな」


 俺はクラ姉さんの容態を伝える。


「そうお姉さんの、侵食を止める為に先生の力が必要、だから会いにきたのですね」


「そんなの嘘に決まってる、大体なんだ侵食とは、そんな症状聞いたこともないぞ」


 シー・サイアス・タイツには嘘だと言われる、だがセレステ・ツー・サイドは何も言わない。


「やはり、人間は信用できないな、魔王様に会わせるまでもない、さっきは油断していたが、このまま殺すのが」


「おい、ユウを殺そうとしてみろ、まずお前から殺すぞ」


「なっ...!!」


「まあまあ落ち着いて、ここは私がなんとかしますからシー・サイアス・タイツ様」


「本当に君に任せてもいいのか若干不安だが」


「いいから任せて下さい」


「そんなに言うなら君に任せよう」


「ありがとうございます」


 シー・サイアス・タイツは治療院の魔族達を連れていく、残ったのは俺とバケノとセレステ・ツー・サイドだけだ。


「一旦場所を変えて話そうよ」


 セレステ・ツー・サイドに提案されたが、バケノは信用できないのか、光輝く剣をセレステ・ツー・サイドの首に当てる。


「お前一体何者だ、さっきも俺の背後に突然立ってたし、さっきの奴よりも断然強いはずだろ」


「この治療院に私の素性を知ってるの先生と君ぐらいだよ」


「ユウがお前の素性を知ってる、ならユウ誰なんだこいつは」


「俺が知ってるのはセレステ・ツー・サイドって名前と魔王アイル・ツー・サイドの娘だってことぐらいだ」


「やっと謎が解けた、それでその魔王の娘様がなんで素性を隠してるんだ」


「それは内緒、それよりも君達は先生に会いたいんじゃないの」


「先生? 誰だそれ」


「先生は私のお母さんのこと、どうする、私なら簡単に会わせてあげられるけど」


「何か怪しいな、お前何を企んでる」


「別に何も企んでたりしないよ、ただ一つ約束してほしい事があるだけ」


「約束してほしいこと?」


「うん、約束してくれたら先生に会わせてあげる」


「簡単な約束なら聞きますけど」


「待てユウ、ちょっとこっちこい」


セレステ・ツー・サイドから少し離れた場所に移動する。


「あいつの言ってることは怪しすぎる」


「でも会わせてくれるって言ってるじゃないか」


「それが怪しいって言ってるんだ、普通の魔族なら人間と知りながら約束なんかしない」


「だけどここまで来て諦める訳にはいかないだろ、折角会わせてくれるって言ってるんだし」


「そうそう」


 うんうんと頷くのはセレステ・ツー・サイドだ、いつの間にか俺達の話を聞いていたらしい。


「ごめんね、気になっちゃって、でも本当に何も企んだりしてないから、ただ一つ私と約束してくれるだけでいいの」


「その約束は一体なんですか」


「えっとね、それはね」


 急にセレステ・ツー・サイドの顔は真っ赤になり下を向くと、人差し指と人差し指をつんつんとさせる。


「あのね約束って言うのは私と一緒に一日人間界でデートしてほしいんだ」


 上目遣いで俺の顔を見てくる、セレステ・ツー・サイド、なんで俺と人間界でデートなんかしたいのか知らないが、そんな事で魔王アイル・ツー・サイドに会わせてくれるなら簡単だ。


「そんな約束でいいのなら」


「ありがとう、じゃあ先生に会わせてあげる付いてきて」


 セレステ・ツー・サイドは治療院の中を進み始める、その後を追う俺とバケノ。


「この部屋に先生がいるけど、私は入れないから、さっきのように容態を話せば、もしかしたら助けてくれるかもしれないから頑張ってね」


 セレステ・ツー・サイドは手を振り、部屋の扉を開ける、たしかに部屋の中に魔王アイル・ツー・サイドがいたのだがそれよりも驚いたのがその部屋にいた人物達だ。


「なんでシル姉さん達がいるんだ!?」


 部屋の中に魔王アイル・ツー・サイドの他にシル姉さん達がいたのだ。

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