シルを始末する終
街の中心部から離れ、小さな森に入る、この森にフードの女が入っていくのを見たと街の悪魔から聞いた。
「そんな広い森でもないし、隠れる場所もそんなにあるわけではないから、すぐに見つかるかもね」
独り言をしながら森を進む、下を向くと、地面に足跡を見つけた、足跡を追い、巨大樹の前で足跡が消えた。
「まさか私を追ってくるとは、あなたってもしかしてストーカーなの?」
巨大樹の上から声が聞こえ、上を向く、巨大樹の枝にフードを被った女が立っていた私の事を覚えていたようだ。
「問題があってね、あなたを始末しないといけないの」
「それで私を追ってきたのね、結局ユウもまだ見つかってないし、あなたとはここで決着をつけといた方がいいみたい」
女はフードを外し、巨大樹の枝から飛び降りた、別の枝を蹴りスピードを上げ細剣を構え一直線に向かってきた、細剣で一振り斬りかかってこようとした瞬間、脚で細剣の剣先を受け止める。
細剣を女もろとも脚で弾き飛ばす、女は空中で体勢を立て直し地面へと着地する。
「聞きたいのだけど、あなたの他に魔悪大陸に侵入してきた人物を見つけたけど、もしかして知り合い?」
一瞬女が油断した、その隙に近づき、女の身体に拳で殴るが拳は女に受け止められた。
「チッ、もう来ちゃったのか、せっかく皆が気づかないうちにユウを助ける気だったのに」
女は舌打ちをした、どうやら知り合いなのは確定だ、力を入れ女の拳を振りほどき後ろに後ずさる。
「舌打ちするなんて、もしかして仲でも悪いの」
「そんなのあなたに関係ないでしょ」
女は細剣を構え直すと地面を蹴り、私の心臓を狙いにきた、すぐに躱すと細剣から冷気を感じた、次の瞬間私の身体が凍りついた。
「あなた天恵の細剣レイシアの能力は知らないようね」
「これが天恵の細剣レイシアの能力かあ」
凍りついた身体を見て、すぐに割ろうと脚に力を入れる、ひびが入るが、相手の女は待ってはくれない、私は女に首を掴まれる。
「これで終わりのようね」
細剣で首元に狙いを定め、首を斬られる寸前に凍りが割れる、すぐに真上の巨大樹の枝に飛び乗る、危なかった死ぬかと思った。
「次はもうそんなの効かないよ」
そう女に伝える、何もない空間を歪ませ別の次元から双剣を取り出す。
「それは何?」
「これは悪転の双剣、私の家の秘宝の一つ」
枝から飛び降り、双剣を構える、走り出し、女の方に斬りかかる、女は細剣で防ぐが、私の方が速く防ぐだけで反撃できないようだ。
双剣を防いでいた時体勢を崩した。
その瞬間首元を捉え、双剣で斬ったと思ったら、私よりも一瞬の速さで避けたが、完全に避ける事はなく、双剣には赤い血が付着しており、目の前の女は右腕を失った。
右腕を失った女は止血をしようと服を破くが、この瞬間ではそれが命取りになる、すぐに前へと飛び出し、女の間合いを詰める、今度こそ女の首元を捉え女の首を斬った。
女は動かなくなり、私は女の首を掴む、地面には大量の血が飛び散っていた、私の服も女の返り血で汚れてしまった、女が被っていたフードで首を包み女の身体はそこに放置し、巨大樹から離れ急いで集合場所の私の家へと向かう。




