シル姉さんvsクラ姉さん
「合同練習ですか団長」
「ええ、この前家でパーティーを開いて、そこでコヌ・ナトラトーシャと取り決めたのです」
「そんな勝手にしかもコヌ・ナトラトーシャの騎士団はつい先日にドラゴンを討伐したと報告があったではないですか」
「そうなのですか、まあ大丈夫ですよ日頃から鍛えているでしょう」
「そうなんですけども、まだミグリの葬儀も終わってないのですよ、そんな明日合同練習するなんて速すぎますよ」
「もう決めちゃったので皆にも伝えて下さい、準備とかはあなたに任せるので、それじゃあ私は用事があるのでこれで失礼」
「待ってくださいよ団長」
「はい、ユウ、あーん」
「あ、あ」
シル姉さんにあーんをされながらパフェのチョコを一口食べた。
「ふふ、ユウ口の回りにチョコが付いてるよ」
シル姉さんに指摘されると、シル姉さんは持っていたハンカチで口の回りを拭いてくれた、するとクラ姉さんが突然現れた。
「ちょっといいですかシル」
「なにクラ、見ての通りユウとデート中邪魔しないで」
「それは失礼しました、ですがシルなんでユウと一緒にいるんですかね、決めましたよねユウを一日好きにするのはゲームで勝たないとダメと」
「でも今日は皆家にいなかった、それでチャンスと思って、ただいまユウとデート中」
ブイサインを作り、シル姉さんはパフェを食べさせようとしてくる、だがそれには誤りがある、俺はシル姉さんに連れ去られたのだ。
「まさかいない所を狙うとは、それでもミグリがいたはずです」
「それなら電源を消して黙らせた、なんか色々うるさかったし」
「せっかくルンキが作ってくれたメイドロボを、まあいいでしょう、この件を黙っておく代わりに私のお願いを聞いてくれませんか」
「嫌、今日はユウとデートするって決めてるから」
「では、この件を皆に話しましょうか、話したらもうシルはユウと遊べなくなるんじゃないですかね」
クラ姉さんに言われるとシル姉さんはスプーンを床に落とした。
「ユウと遊べない、なにそれ人生の終わり、そんな事したらクラの事許さないよ」
「でしたら私のお願い聞いてくれますよね」
「それだったら私もお願いがある、クラがそれを聞いてくれたら私も聞いてあげる」
クラ姉さんは一瞬考える素振りをすると、すぐに決めたみたいだ。
「いいでしょう、一体なんですかお願いとは」
「クラが持っているユウの写真を何枚か譲ってほしい」
「ユウの写真ですか、他のお願いじゃだめですかね」
「だめユウの写真じゃないと」
なんで姉さん達はそうまでして俺の写真が欲しいのだろうか、写真を撮っているのはこの前初めて知ったから気を付けて周りを確認していたら、確かに撮られていた。
「いつもユウの写真を買いに行っても、クラが殆ど買い漁ってるから、私達まだそんなに持ってないのだからクラの持ってる写真を譲って」
「し、し、仕方ありません、家に帰ったら譲ります」
そんな事を言っているが本当は譲りたくないのだろう、今のクラ姉さんは泣きそうな顔になっていた。
「それじゃあクラのお願いを聞いてあげる、一体私に何をお願いしたいの」
「それはですね、私をもう一度鍛えてほしいのです」
「でも、クラはもう私より強くなってるよ、多分クラを倒せる相手はこの街を探してもいないし、なんで鍛えたいの」
「私にも分かりません、ですが明日の合同練習でコヌ・ナトラトーシャと勝負しそうなので、それだったら彼女と一番勝負してたのはシルじゃないですか」
「それは私が騎士団にいた頃の事でしょ、コヌも前とは全然違うと思うよ」
シル姉さんが騎士団にいたなんて初めて聞いた、それにコヌとは一体誰の事だろう。
「それでもいいです、彼女には負けるわけにはいかないんです」
クラ姉さんはそのコヌと因縁があるのだろうか、クラ姉さんの瞳を見ると燃えるような目をしていた、それを見たシル姉さんは、近くにあったフォークをクラ姉さんに投げ飛ばした、それをクラ姉さんは簡単に弾き飛ばし、フォークは空高くに飛んでいった。
「鍛えるのはいいよ、でも条件がある」
「なんでしょうか条件とは」
「私に負ける度にユウの写真を譲るそれが条件」
「数枚では飽き足らず私から奪う気ですね、どうやらお願いする相手を間違えたようですね」
そう言うとクラ姉さんはすたすたと歩いて行く。
「あぅねえさん、おぅねあいあぃてあぅて」
「まさかユウ、今私の名前呼んだ」
するとさっきまで歩いて行っていたクラ姉さんが、一瞬で戻ってきた。
「なんですって」
「あぅねえさん、おぅねあいあぃてあぅて」
「これはシルじゃなくて私の名前ですよ、そうですよねユウ」
全然違うこれはシル姉さんにお願いしているのだ。
これだから赤ちゃん言葉では伝えにくいのだ、だがシル姉さんは分かってくれたみたいだ。
「ユウが言うんなら今回だけ、でも最初にお願いした写真はもらうから」
「負ける度の写真はいいのですか」
「別にいい、だってユウに名前呼ばれたから」
「だからあれは私の名前ですよ、そうですよねユウ」
クラ姉さんが頭を撫でてこようとしたのを、シル姉さんが止めた。
「シル、なぜ止めたのですか、手を放してください」
「クラ、もう始めようとしてるのに、そんな事してる暇あるの」
「こんな街のど真ん中で始めるのは迷惑になるので、違う場所に行きましょう、それにユウはミグリに預けた方が安全です」
するとシル姉さんはクラ姉さんの手を放し、シル姉さんに抱かれながら一旦家に戻ると。
シル姉さんがミグリの電源を入れた。
「もう、シル・マルシェルナシー様酷いではないですか電源を切るなど」
「ごめんね、はいユウの事お願い」
「あれ、どこかに連れていくのではなかったのですか、それになぜクラ・マルシェルナシー様までいるのでしょう」
どうやらミグリは電源が切れると、そこまでしか覚えてないらしい。
俺はミグリに抱かれながら二人の事を見送った。
そして夜になると二人はボロボロで家に帰ってきた。




