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マルシェ家の休日


 その日はマルシェ家の忙しい一日だった。


「ちょっとクラ姉さん、そろそろ到着するんじゃないの」


「私に聞かれても分かりませんよ、お母様に聞いて下さい」


「えっとこれをあそこに置いて、シル姉さんシャンパン持ってきて」


「もう持ってきてる、はいブラン」


「今日は何かあるのですか?、皆さん忙しく動いているようですが」


 俺を抱いてあやしていたミグリが、姉達に聞いていた。

 ミグリは昨日メイドとして作られたからまだマルシェ家の休日の過ごし方を知らないのは当たり前だ。


「マルシェ家では休日に他の貴族を家に招きパーティーを開いているのです、私達はそんなのに興味ないのですが、お母様やお父様の威厳も大切にしなければいけませんからね」


「それでしたら私もお手伝い致します、私が作られたのはお世話が目的なのですが、こうした手伝いもデータに入ってるので」


 ミグリはすぐに動こうとした、それを止めに入った人物がいた。


「いいえ、あなたにはユウのお世話を任せます、いいですか何があってもユウをパーティーに出させてはいけませんので、違う部屋でユウと過ごして下さい」


 クラ姉さんの命令によりミグリは俺のお世話に集中していた、家が騒がしくなっている事に気づくと、丁度パーティーが始まったみたいだ。


 早くパーティーに出たいな、姉さん達のおかげで休日のパーティーには出た事がないのだ、まあ出たとしてもそんな社交性なんてないんだけど。


「さあユウマルシェルナシー様食べて下さい」


 ミグリが食べさせてくるのはパーティーから持ってきた物だろう、それを口に入れると、とてもじゃないが口に合わなかった、あんまり吐き出したくはないのだがこれは仕方ない。


「あら、口に合いませんでしたか、それじゃあ他の物を持ってきましょう」


 ベビーベッドに寝かされ、ミグリは部屋から出ていってしまった、暇だな誰か来てくれないかなと考えていると部屋に入ってくる者がいた。


「あらこんな可愛い子がいたなんて知りませんでしたわ」


 誰かは知らないがパーティーの参加者だろう、まだ幼い感じなので、姉さん達の知り合いだろうかその子は俺を見つめてくると、頬っぺたを伸ばした。


「あいつらの弟ですかね、少し顔が似ていますのね」


「そこのあなたここで一体何をしているんですか」


 すると出ていったミグリが何かを持ち戻ってきた、正直助かった、もうすぐで顔を引きちぎられそうだった。


「あら失礼、私はパーティーの参加者ですの、少し道に迷ってしまって」


「それでは私が送って行きましょう、付いてきて下さい」


 ミグリに連れていかれた彼女は一体何者なのだろうか、貴族の娘には違いないのだろうが姉さん達の事も知っているようだった、やっぱり姉さん達の知り合いなのか。


「すみませんユウ・マルシェルナシー様を放っておくなどメイドとして失格です、ですがパーティーでいい物を見つけてきましたよ、これは大丈夫な筈ですよビスケットです、パーティーからくすねてきたので内緒ですよ」


 ミグリは内緒だと言い、ビスケットを口に入れた、香ばしく甘いビスケットだ、これは誰が作ったのだろう、今日のマルシェ家ではメイドが数人働いているので誰が作ったのか分からなかったが、これはとても美味しい。


「そんなにがっつかなくても、ビスケットは多く取ってきたので無くなったりしませんよ」


 ミグリに指摘されゆっくり食べ進めた、でも誰がこんな美味しいビスケットを作ってくれたのだろうか。


「へっくち、もしかして誰か私の噂でもしているのでしょうか」


「あら、コヌナトラトーシャあなたも来ていたのね」


「クラ・マルシェルナシー、ええお呼ばれしたのですから当然ですわ、それより私が作って持ってきたビスケットを食べてくれましたでしょうか」


「ええ、とても美味しかったですよ、それよりもどうでしょう、今度そちらの騎士団と合同練習みたいな事をしたいのですが」


「私も思ってましたの、でもあなたつい最近獣種を殺し、部下が亡くなったって聞いたけどお気の毒に」


「まあね、でもそちらの騎士団もあまりいい噂を聞かないよ、なんでも人間を奴隷扱いして働かしたりしてるそうじゃないか」


「誰でしょうかね、そんな根も葉もない噂をあなたの耳に入れたのは」


「クラどうしたの」


「あらシルさんお久しぶり」


「久しぶりだねコヌ、お父さんは元気なの」


「あちらであなた達のお父様と話しております、それよりさっきあなた達に似た弟さんっぽい方がいましたが」


「誰の事かな、弟なんて知らないよ」


「まあいいですわ、それでクラマルシェルナシー合同練習の件は追って連絡させて頂きます」


「よろしく頼みます、コヌ・ナトラトーシャ」


パーティーもお開きになったのだろう、姉さん達が部屋に入ってきた。


「疲れた、もうあいつと話す時って疲れるのよね」


「お疲れ様、ミグリ何かお茶もらえない」


 ミグリはシル姉さんからのお願いをすぐに聞き、姉さん達のお茶を作っていた。


「でもそろそろ休日にパーティーを開くの止めてほしいな、ユウと遊べないし」


「そうだよね、ユウも寂しいもんね」


 ブラン姉さんに体をまさぐられきゃっきゃっと笑ってしまう。


「でもユウがパーティーに出るなら、私はもっとやっていいと思うけどね」


「何を言っているんですか、可愛いユウがパーティーになんて出たら女性達が群がって来るでしょう、それを阻止する為にパーティーの間は部屋に閉じ込めているんですから」


 ミカロ姉さんがミグリと一緒にお茶を持ってきた、だからパーティーに出さなかったのか、まあ別に今はいいか。


「ありがとうございます、それにしても合同練習ですか、これは忙しくなりそうですね」


 クラ姉さんが呟いた合同練習とは一体なんなのか、少し気になるが今はブラン姉さんから逃げるのが先決だ。

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