恩恵
今日も1日が始まる。
俺の朝は早い。日が昇る少し前に起きて川に向かう。
まだ動きが鈍いを魚を自作した先端に鉄製のヤス先を付けた木製の道具で突いて捕らえていく。
岸に置いた篭がいっぱいになったら全ての魚から内臓を取り出し、いくつかの仕掛けて置いた仕掛けを引き上げる。目当てのエビを別の篭に移してから取り出した内臓を餌として仕掛け直してから一度帰宅。
自分の分の食料を保存したらすぐに街へ向かい、残りの獲物を全て売却する。
そのまま森へ向かい、獲物を探す。鹿か猪が見つかればいいが、姿が見れない日もある。
猪が先にこちらを見つけたようで、一気に突進してきていた。体当たりをまともに食らいたくはないが、早く仕留めることができるためギリギリでかわしつつ前脚に全力で蹴りを入れて関節と骨を砕く。あとは、牙に気を配りつつ仕留めるだけだ。
血抜きをしっかり行い、担いで自宅へまた戻る。血の匂いに誘われた獣が来れば更に獲物が増えたのだが…
解体を済ませたら、干し肉や調味料に付けたり加工と保存を行う。既に仕上がっている分をまた街に卸したら仕事は終わりだ。
今日はヒナヨと会う約束がない日なので、ここからは日課の考察に充てる。
狂宴で得られる恩恵には大まかには3種類あると思っている。
1つ目はニルヴァ到達者の出身国が得られる資源。
2つ目はニルヴァ到達者が得られる望みを出身国に利することを願った場合の事象。
3つ目はユースティア到達者の望みを技術や知識を持った者を生き返らせて得られるものか、他国の有能な者を殺すことにより得られる優位性。
1つ目については、複数回到達すればその分増えていく。しかし、得られるものは不規則に近い。ノールは鉄が最初だったが、ミンツァの初到達時は稲、ビャンビャンは馬だったらしい。
自国で重複することはないが、得られる順番にもほぼ規則性はない。唯一の規則性として、第1回を除くと10の倍数時に金属が得られるようだ。
2つ目については、代表的なものがノール、スァイ、ジュドー、ミンツァでは他国の国力をある程度見られるようにしたもの。これも回数により得られる詳細が増えていくようだ。他には子孫に優れた遺伝が残りやすくしたり、自国内のみで遠距離での情報のやり取りができるようになどがある。しかし、参加者は大きな危険を経ているため、自国の利よりも自分自身の欲望を優先する方が圧倒的に多いのは仕方ない。
3つ目についてはその言葉のまま。形になるまでは時間を要するが、得られる技術や知識の影響は大きく、今の生活基盤を築いてこれた一番の理由だ。また、独走状態の国に対して有能なものを3人消せるというのは少ないかもしれないが…実際に行われたことがあるのはジュドーの一強が目立ち始めた頃、示し合わせたわけでもないのに偶然にジュドー以外の4国全てがジュドーの弱体を狙い国力を低下させたことがあった。いくら1国で3人とはいえ、4国だと12人が消える。ましてやそれが国力に直接響く技術力や知識者を優れた者からまとめて消されたら損害は計り知れない。ジュドーは弱体化した国力を戻すために蘇生を狙い、他国はまた削る。要した期間の分だけ他国は追い付いてこれる。個人の願いな為、近しい者を蘇生や恨みを晴らすために使われたりはあったが、ある程度追い付いてきた時点で集中放火は収まった。
現在の時点での国力は確認できる内容が追加されない限りは次の状態である。
ジュドー
ニルヴァ到達数 10
人口 8
資源 8
人材 8
環境 8
情報 9
士気 9
スァイ
ニルヴァ到達数 9
人口 9
資源 9
人材 9
環境 4
情報 10
士気 8
ミンツァ
ニルヴァ到達数 8
人口 9
資源 6
人材 8
環境 3
情報 8
士気 8
ビャンビャン
ニルヴァ到達数 6
人口 9
資源 10
人材 10
環境 4
情報 2
士気 4
ノール
ニルヴァ到達数 4
人口 3
資源 4
人材 6
環境 10
情報 7
士気 8
ジュドーが全てにおいて高レベルであり首位、次いでスァイ、ミンツァと続き、下位がビャンビャン、ノールだ。
数字は10段階評価でつけられている。
人口は文字通り国民な数。
資源は鉱物や食料。
人材は高い技術力や知識者、また身体能力などが高い者。
環境は国内の流通や生活レベルの質。
情報は今見れている他国についての情報。
士気は国民の狂宴に対しての熱量や取り組み姿勢。
これらは誰でも望むと目の前に表示できる、狂宴で得られた恩恵だ。スァイであれば更に上の情報を得られると見て間違いない。
…今日はこれくらいで終わろう。
会議の結果も知らされていないし、ヒナヨと会えなかったが、大丈夫だろうか…
例年通り、桜が咲き始めてきたので宴に関しての参加者に関することだろうが…