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コドクノサキノケモノトナル  作者: とサコ
プロローグ
2/7

ノールのシジマ

 桜禍の南部分の位置するノールにいるらしい。

 動けるようになってからしばらく周囲を歩きまわってみると、何人かと合流することになった。

 久しぶりの会話を試みると、久しぶりに喋るという行為に上手く話せなかったが、段々と慣れてきて言語も問題なく伝わることが確認できた。

 自分たちの名前は全員覚えていないというか思い出せないため、それぞれが新しく名前を付けることになり、俺はシジマと名乗ることにした。

 数人とこれからのことを話し合い…まず食料や水分の確保、周囲の探索と把握、住む場所の確保を最優先で行い、続いて着るものの確保、文明の欠片もないので石や木を使った道具を作り、生活の基盤を整えていった。

 そうして過ごしているうちに人数も増えていったが、まとめ役などは作らずに全員で話し合いなどをして決を採る形で進んでいった。


 そうしてしばらくが経ったのち、不意にこの国唯一の山にてそろそろ何かが始まると全員が感じた。

 ここからでは山は全く見えない位遠いのか、この集落ではいまだに誰もが確認しに行こうとしたことがなかったが…

 何かが確実に起こるのなら、確認は必要と考え

、話し合いの末に俺一人で向かうことに決めた。

 自分自身で行くことを決めた途端、視界が真っ暗になったと思ったら、目に映る中には見下ろせる緑一面があり、山の中にいるみたいだ。周囲には数人がまばらにいるが、全員が見知らぬ者同士なのか警戒しているようだった。

 徐々に人数が増えてきて何人かと会話してみたところ、山の近くにいた者で以前山を探索しようと試みたが入ることができなかったらしい特に物理的な封鎖などはないが、なぜかわからないが入ることだけができなかったとのことだった。そして、何かが始まる予感がした後に元々緑一色だった山が淡いピンク色に変わったのを確認したため、山に入ろうと決めたらここにいたらしい。

 まぁ、わかるのは50人という定数が揃うと何かを食し、この場にいる他者と競い、一人だけを選び抜いていくらしいが…


 そこそこの時間が過ぎて人数が増えたころ、不意に自分の前に小さい球形の深紅の果物が生えてきた。

 周囲を見ると、この場の人それぞれの前に一つずつあるみたいだ。



 「目の前にある果実を食し、自分の求める力を想像せよ。限度はあるが求める力が創造される。男女の力や肉体の差などで悲観する必要のない力が得られる。」


 久しぶりに聞くあの声だ。

 逆らってもいいことはあるまい…

 何が起ころうとも仕方ないと覚悟して食して想像する。

 力…か。この場にいる他者と競うことになるなら、シンプルに肉体が強い方がいいか…となると、筋力の強化にその力の使用に耐えられる体にするか。

 力強くなったという実感はない…が、確実な違和感が一つ。

 牙がある…



「その力を持って、この場にいる他者を倒し…本能に従い、喰らえ。さすれば更なる力が得られる。自身と同等以上の力の持ち主なら問題はないが、自身より遥かに劣る者を何度も喰らった場合、しばらく動けなくなる。なお、今からランダムに散らす。その時より開始とする。開始と同時に桜は麓から順に散っていく。桜が散った箇所に残り続けていた者は、参加する気がないと見て…一番近い者の餌にする。」



 他者を倒し、喰らえ…?

 そのための牙だというのか…

 そして、その様子はあの集落のみんなが見ることも可能というのか…


 逆らってみたところで、どうにもならないのは理解できる。それに…やりたいことは特にないが、ただで命をくれてやるほど殊勝な気持ちもない。

 それなら、やるだけだ…


 こうしてコドクの狂宴が始まった。

 


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