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灰色鼠と漆黒の豹  作者: 和狸 はる
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結婚式

結婚式は通常花婿の実家で執り行われる。

グイドとリズリィも多分に漏れず、ダリドの実家の広間で執り行われる。


母が純白の生地に紅い刺繍が施された花嫁衣装に身を包んだ妹の髪に花を一輪挿す。

獣人の結婚の習わしで、花嫁の女性の親族が花嫁の幸福を願い一輪づつ花を挿していくのだ。

花は小柄で愛らしいリズリィの魅力を損なうことなく、むしろ可憐さが引き立つような小ぶりなものだ。

母に続いて、ミーニャがリズリィの髪に薄桃色に色づいた花を挿した。



緊張した面持ちのリズリィと目があって、ミーニャは微笑んだ。


「リズリィ、とても綺麗よ」


「ありがとう」


リズリィも釣られて微笑んだ。


「大丈夫。グイドさんはとても良い人よ。きっとリズリィを大切にしてくれるわ」


パチリと悪戯っぽくウインクすると、リズリィはまたは微笑んだ。


「ありがとう。姉さん」


少し緊張が解れた様子のリズリィを見て、ミーニャは安心したように後ろの控える従姉に場所を譲った。



花を挿し終えたリズリィは花婿の待つ、壇上へと母に手を引かれ向かっていた。


ミーニャや親族の女性たちも急いで別の入り口から広間に入ると一番後ろから式を見守った。


長い宣誓書を新郎が読み上げ、二人の腕に巻かれていた赤い布を火にくべて燃え尽きるのを見届けてから、腕輪の交換が終わると式は終了となった。

リズリィは無事に式を終えられてホッとしたようだった。

そんなリズリィの右手をグイドの左手が優しく包み込む。

そしてお互いを見てからにっこりと笑い合った。


それからは宴だ。

宴の給仕は新郎親族の女性達が担当することが多いものだが、そこはさすが花婿が衛士様だけはある。

外から人を呼んで給仕させていた。指示はグイドの母に仰いではいるが、皆手慣れているのかテキパキと動き回っていて、親族達の出る幕は無さそうだ。


宴の中盤頃には新郎新婦は引き上げてしまう。二人はこれから二人っきりの蜜月期間に入る。その間は両親でさえリズリィに会うことは難しいだろう。

去っていく妹に軽く手を振ってから、ミーニャは立ち上がった。


宴の熱気とほろ酔い気分になったミーニャは風に当たりに外へと出て行った。

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