お兄様とのお茶会
拙い文章ではありますが、
お読み頂き、ありがとうございます。
私の16歳の誕生日までにアルお兄様を振り向かせる事が出来たら、婚約を解消してくれるとアルフレッド殿下は仰った。
でも、一体どうすればアルお兄様は私を好いてくれるのかしら。
「リズ?何ぼんやりてるんだい?」
ふんわりと微笑んだアルお兄様がテーブルの向かいから私の顔を覗きこんだ。
いけませんわ。
せっかく今はアルお兄様とお茶をしている最中だったというのにぼんやりと考えてしまいましたわ。
「何でもありませんわ。」
私がそう曖昧に笑って答えれば少し訝しげな表情で口を開いた。
「リズ…俺には内緒の事なの?」
くすくすと笑いながらからかうように言っているがアルお兄様はいつだって私に甘い。
「久しぶりにアルお兄様とのお時間でしたので話したいことがたくさんあって何から話そうか迷っていましたの。」
首を左右に振って取り繕うように言葉を紡ぐと優しく私の頭を撫でてくれた。
「しばらくはブライトマン邸に滞在する予定だからリズの話はいつでも聞いてあげるよ」
恐らくアルお兄様はアルフレッド王子との婚約の事をもう知っていらっしゃる。
昔から私が困っているといつも側にいてくれたもの。
きっと今回もそうに違いないですわ。
でも決してお兄様は私に問い質したりはしない。
婚約なんてやめろと仰ってくださればどんなに良かった事か。
「ねぇアルお兄様、週末王宮で行われる夜会のエスコートをお願いしても良いですの?」
上目遣いに見つめればアルお兄様は困った顔だ。
無理もないですわ。
いつも私のエスコートはエリックお兄様がしていらっしゃったし、アルフレッド王子との婚約の事も知っていらっしゃると思いますもの。
「俺の可愛いお姫様のお願い事なら二つ返事で答えたいところだが…そうだな、ジェイス叔父様が許可を出してくれるのなら俺は構わないよ。」
「わかりましたわ!父様にお伺いしてみますわ!」
ぱぁっと表情が明るくなった私に苦笑するアルお兄様の表情はもう目に入っていなかった。
父様は私のお願いを断ったことはありませんからきっとアルお兄様にエスコートして頂けますわ!
私の心は既に週末の夜会へと飛んでいたのだった。