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学校の七不思議?  作者: 刃闇龍河
6/9

第六話

★あらすじ:省略。


 第六話《石像と影》



『進! ソイツは、七不思議の一つ「呪いの鏡」よ!』

 と琴美が教えてくれた。

「そうか……。だから、鏡を割ろうとしてたのか」

 俺はそう言いながらその“呪いの鏡”に近づいた。

「くっ……バレてしまってはしょうがない。でも、私を倒すことが出来るかしら?」

 そういいながら“呪いの鏡”は後ろに下がる。

「どういうことだ?」

 俺が聞くと、

「ふふふ。いい? 今あの女は鏡の中にいる。そしてあの女を鏡の中から出せるのは、あそこに閉じ込めた私しかいないのよ。つまり、私を倒したらあの女は一生鏡の中で――」

 そこまで喋ったところで、俺は、

「ああ。それなら平気だ」

 と言って遮った。

「へ?」

 “呪いの鏡”は言っている意味が分からんという顔をしている。

 なので俺はもう一度、

「それなら大丈夫だ」

 と言って鏡の近くに行き、

「能力を使えば、琴美を鏡の中から出すことなんて簡単だ」

 そういって手を鏡の中に入れ、琴美を掴んで引っ張り出した。

「キャッ!」

 勢いよく引っ張り出したので、琴美は床に投げ出されてしまった。

「さて、これでお前を倒すことが出来るな」

 “呪いの鏡”の顔は引きつっていて、冷や汗をかいていた。

 ここでさらに俺は追い打ちをかけるように言った。

「もちろん、簡単には倒さないよ。いっぱい迷惑をかけられたから、じーーーーっくり、時間をかけて倒してあげるよ」

 俺はそう言いながらニターっと笑った。その時窓からは月の光が入ってきていて、俺の顔を照らしていた。

「ひっ。あ、悪魔!」

 “呪いの鏡”は俺を突き飛ばして鏡の中へ入っていった。

「茂! 早く割って!」

 俺は、今の状況についていけずに唖然としている茂に向かって言った。

「お、おう」

 茂はハッとして、すぐに返事をしバットを振って鏡を割った。


 ガシャーーーーーン!!!


 その鏡は、どの鏡よりも大きな音で割れた。

「ふぅー。なんとか倒せたな。琴美、大丈夫だったか」

 そう聞くと、

「えっ……うん。大丈夫」

 と答えた。



「いや~、なんかあっさり倒しちゃったね」

 次の七不思議を探すために廊下を歩いていると、急に琴美が喋りだした。

「そうだね。“呪いの鏡”も自分から鏡に入っちゃったし……あれ、琴美、どうしたの?」

 琴美の方を見ると、何故か無言で顔から表情が消えていた。

「どうしたの? いつもの琴美らしくないね」

 俺がそういうと、

「い、いやー……あっ」

 急に琴美が窓の外を指差した。

 あっちはグラウンドの方だったような……。そう思いながら窓の外を見ると、

「あれは!?」

 手に本を持ち木を担いでいる銅像が、グラウンドを走る……いや、飛び跳ねていた。

「あれって確か、七不思議の一つ『二宮金次郎』じゃない?」

「そうだな。さっそく退治しよう」

 俺は退治しようとしたが、ここで大きな問題が一つあった。

「外にいるけど、どうやって退治しよう」

 二宮の像がいるのはグラウンドで、俺たちがいるのは校舎の中。そして今俺たちは外に出ることが出来ない。

「どうしよう?」

 俺が悩んでいると、琴美が俺の肩をつついてきた。

「なに?」

 と聞くと、

「こんな時こそ能力の出番じゃないの」

 と言ってきた。

「ああ」

 その手があったかと思い、さっそく能力を使うことにした。

「使う能力は……【設定を変える】でいいか」

 俺はそう言ってグラウンドの設定を変え、“今グラウンドには次元の穴が出来ている”という設定にした。

「これでいいな」

 外を見ると、ちょうど二宮の像が次元の穴に落ちているところだった。セブンベルを見てみると、五つの光が消えている。

「よし、倒したみたいだな。この調子で残り二つも倒そう」

 そういって俺と琴美は歩き出した。


 ~五分後~

「なかなか見つかんないわね」

 俺と琴美はしばらく廊下をぶらついていたが、何も出てこなかった。

「暇だなー。何か起きな――ん?」

 俺はそこまで言って、あることに気づいた。

「なぁ、琴美。なんか忘れてないか?」

 そう聞くと、

「進も? 私もなんか忘れてるような気がするのよ」

 と答え、しばらくその場で考えた。

 しばらくして琴美が、

「あっ!」

 と叫んだ。

 その声を聞いた俺も、あることを思い出した。

「「茂だ!」」

 俺と琴美の声が重なった。

 俺らは今来たところを全力疾走で戻った。



「はぁはぁ……いた!」

 しばらく走ってると、二宮の像を見たあたりに茂がいた。

「おーい、茂。さっきは置いて行ってすまなかったな」

 俺がそう言いながら駆け寄る。茂は外をじっと見ていた。

「忘れてたわけじゃないのよ」

 そういいながら琴美が外を見ている茂の顔を覗き込む。そして、

「ひっ」

 一歩後ずさった。

「どうした!?」

 そういいながら琴美に近寄ると、

「顔が……」

 茂の方を……茂の顔を指差して言った。

「顔?」

 俺は茂の顔を見た。

「!」

 茂の顔は、いや、茂の全体の肌の色が黒くなっており影のように、いや、影そのものだった。

 俺と琴美がしばらく目をパチパチさせてると、その茂(?)が口を開いた。

『ワレハ カゲ。ナナフシギノ ヒトツ ナリ。』

 茂のものじゃない、男の人の声が聞こえてきた。

「六つ目の七不思議!? でも、なんで茂の体に……」

 琴美は驚きを隠せないようだ。

『ワレハ コノモノノ カラダヲ イタダク。コノモノノ カラダハ カゲノワレニ トテモシックリ クル ウツワダ。』

 その“影”はそういうと、影で大きな鎌を作り、

『オマエラモ ナカマニ シテヤル。』

 と言って鎌を振り回してきた。

「おっと」

 俺はそれをギリギリのところでかわした。

「【シールド】発動」

 と言って、琴美の周りにシールドを張った。

 この動作をしている間も俺は鎌をよけ続けている。

『チョコマカト ウゴキオッテ。』

 “影”がそういうと鎌が二つに分裂した。

「うそ!?」

 俺はそう言って鎌を避ける。

 くそ、敵を倒すためにはまず鎌をどうにかしなくちゃいけない。一体どうすれば……。

 俺が考えている間も攻撃は止まない。

 やっぱり隙がない。影で鎌を作るなんてどんだけ卑怯なんだよ。影なら好きな形に出来るし、いくつでも作れるじゃないか。……!

 ここで一つの案が浮かんだ。

 俺は避けるのを止め、敵に突っ込んでいった。もちろん鎌が攻撃をしてきたが、俺はそれを、

「目には目を、歯には歯を。そして影には影を」

 と言って、影を出して止めた。

「影を使えるのがお前だけだと思うなよ!」

 鎌を全て封じた俺は敵の懐に入り、能力で創り出した札を張った。

 その瞬間、

『グヴァー』

 と言って“影”は消えていき、茂だけが残った。

「うーん。あれ、俺は何をしてたんだっけ?」

 どうやら茂は覚えてないようだ。

 なので、六つ目の七不思議『影』が憑りついていたことについて説明してあげた。

「そうだったのか……。すまなかったな、進。琴美」

 そういって茂は謝ってきた。

「別にいいよ。困っていたら助けるのが当たり前でしょ。それに、とうとう六つ目も倒したんだし」

 そういって俺はセブンベルを取り出す。そこには『影』を倒したおかげで六つの光が消えていた。

「よし。これで残りは一つね。頑張っていきましょ」

 琴美がそういったので俺たちは「おう」と言おうとしたのだが、


『クスクス……本当に私を倒すことが出来るかしら』


 どこからか聞こえてきた変な声によって邪魔されてしまった。


☆第六話《石像と影》 完


★次回予告:

とうとう六つ目の七不思議を倒した進たち。

残りはあと一つという時に、どこからか奇妙な声が聞こえてきた。

果たして声の正体とは。次回、学校の七不思議?第七話《少女》

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