第8話 スコット領
ラファエロはいったん、現実世界に戻り、コンビニで新作スイーツとなるチョコレートケーキを購入した。
これを、新たに名称を変更し、『キキララのスイーツ店』とした店の新作スイーツとして販売していくことも決めた。
新作スイーツとはいいながら、実際にはコンビニの市販のスイーツを持ってきているだけだということになる。
これから向かう、スコット領について。
辺境地域の一領主に過ぎないとはいいながら、
実際にはけっこう、見るからに威容のある、攻める側にとっては攻略が困難そうな城と、
一方で城下町はというと、地域の中心都市、いや都市国家ともいえるほどに、
栄えているといった感じだと、実際に行ったことのある人から聞いた話。
だから、今から行ってそれを確かめようと考えていたラファエロ。
しかしここで一つ、問題が発生していた。
ラファエロが留守の間は誰が農村を守ってくれるのか、ということ。
もしもこうしている間にもアーサトゥアル帝国軍に攻め込まれたりでもしたら…、という心配を抱えながら、スコット領の城と城下町へと向かう。
すると、向こうから騎兵隊と、さらには槍兵部隊が進軍してくる。
見たところ、かなりの大軍勢のようだ。
どうやらスコット領に対して、農村から軍勢の派遣要請が事前にあり、
農村を防衛するために、領主のスコットが、あらかじめ派遣したらしい。
後ろには弓兵部隊と歩兵部隊もいる。
やはりここが、アーサトゥアル帝国に対抗する、レジスタンスの一拠点となっているようだ。
ラファエロ「よし、まずはひとまず、農村の留守中の防衛は安心だ。
これでのんびり、物見遊山でもすることができるというものだ。」
農村を出ると森が広がり、さらに小高い丘を越えていくと、たちまち広い平原が眼下に広がる。
スコット領の城と城下町はそこにある。
そしてその先には海が広がり、港町もある。
ラファエロ「さあ、着いた着いた!ここが城下町か。」
もちろん、このあたりでは一番大きな町だ。
しかし最終目標はここではなく、ここから港町に行って船に乗り、カレーラス王国に向かうことだ。
まずはその許可を得るために、城へ向かう。
せっかくだから、領主スコットの顔を拝見しておこうと考えた。
カレーラス王国のミミ王女が、レジスタンスの総合リーダーで、スコットはサブリーダーという。
ラファエロ「城下町はこんな感じか…。
典型的な西洋中世の地方都市といった感じだな。」
キキララ「いよいよお城に入るのね!
楽しみ!そもそも私は、村からも出たことがないんですよ。」
ドーガ「へえ、城も町も、意外と立派な感じだな。
まあ俺みたいな人間は、定住することなく、さすらいの旅を続けるのが、性に合っているんだがな。」
城門が開く。いよいよ城の中に入る。
ドーガ「おやおや、城の中は意外と立派な感じだな。」
中には噴水もある。水が流れている。こんな感じでチョロチョロ流れているのが、雰囲気をかもし出し、心が癒されるようだ。
そしていよいよスコットのいる謁見の間に向かう階段を登っていく。
まっすぐ登り、まっすぐ向かっていけばいいようだ。
真ん中の王座に座っている、チョビヒゲの紳士といった感じの人物が、領主のスコット。
脇には大臣らしき人物もいる。両脇には護衛の兵士たちもいる。
「ようこそ、スコット領へ。私が領主のスコットだ。」
まずはお決まりの挨拶だ。
「ラファエロといったな、ジャパネスク王国から命からがら逃れ、現在は農村でスイーツの店と、飲食店をやりながら、なおかつ農業もやりながら、スローライフを送りたいとか…。」
「はい、その通りです。スコット様。」
そしてスコットからの情報によると、どうやら、ジャパネスク王国の残党勢力が、ミミ王女やスコットの率いるレジスタンスに合流するらしいとのこと。
もしかして、知ってる奴いるかもしれないな。
あわよくば、ジャパネスク王国奪還に向けた戦いの準備を行うような雰囲気だな…。
しかし、なかなか農村でスローライフで気ままに、というわけにはいかないな…。