第5話 アーマーナイト用のデカプリン
そういえばまだ、店の名前も決まっていなかったな。
それと、農村の名前もまだ、決まっていなかったな。
このままいつまでも名も無き農村、名も無きスイーツ店じゃ、立つ瀬が無い。
ラファエロは、農村の名前を『ジャパネスク落武者の里 ラファエロ村』と命名した。
あえて『ジャパネスク落武者の里』と名付けたのは、在りし日のジャパネスク王国の素晴らしさを、忘れないで覚えていてほしい、という願いも込められていた。
一方、スイーツ店の方は『キキララプリンの店』と、仮の名前をつけた。
いずれはパンや定食なども扱う飲食店も始めたいと、ラファエロは考えていた。
そんな中、1人の兵士らしき者が、この村を訪れてきた。
この兵士はかなり重そうな鎧を装備して、これもかなり重そうな槍を装備している。
見たところ、アーマーナイトのようだ。そして村人の一人が、そのアーマーナイトに話しかけた。
するとそのアーマーナイトは、ドーガと名乗った。
ラファエロ「ドーガというのか…。
やばい!こっちに来るぞ!」
するとラファエロはドーガと目があってしまったようだ。
ドーガはラファエロを見るなり、一心不乱に突進してくる。
そしてラファエロ目がけて、槍を振り回してきた!
ドーガ「うおーっ!」
ブンッ!
いきなり振り回してきたので、ラファエロはよけるのがやっとだった。
ラファエロ「何しやがる。」
ドーガ「お前、アーサトゥアル帝国の者か!?」
いきなり聞いてきたドーガ。
この風貌を見て、アーサトゥアル帝国の人間だと思うか?
そこにキキララが駆け寄ってきた。
キキララ「待って!この人は、アーサトゥアル帝国に追われている、落武者なのよ。
アーサトゥアル帝国に滅ぼされた、ジャパネスク王国の兵隊だった人。」
ドーガ「ジャパネスク王国!?
ああ、アーサトゥアル帝国に敵対していたという、あの国か。
じゃあ、帝国の敵かよ。
『敵の敵は味方』ということになるのかな。」
ドーガ、どこかで聞いたことがあるな。
このセリフは喜多風太陽として話す。
「ちょっと待てよ。この展開ってまさか、俺がいつも暇さえあればやっていた、あのゲームにそっくりじゃないか。」
そのゲームのタイトルは、『バルフォモーリア大陸戦記 聖剣と魔剣の伝説』というタイトルだった。
建国わずか30年程度で、それまで約1000年続いた戦争を終結させ、大陸全土を統一したアーサトゥアル帝国。
しかし、アーサトゥアル帝国は突然、牙を向いた。
そしてそのゲームの中にもアーマーナイトが登場してくる。
そのアーマーナイトの名前も、ドーガという。
ラファエロ「ドーガといったな、所属はどこだ?」
ドーガ「待て、待て、俺はどこの国のどこの部隊にも所属していない、自由な流れ者だ。
俺のような、どこの部隊にも所属しないで、気ままに漫遊の旅をして過ごすような流れ者は、まだまだいるぜ。
まあ、アーサトゥアル帝国にも立ち寄ったが、アーサトゥアル帝国は居心地が悪くてね。」
そして、このドーガはスイーツ好きだという。
ドーガ「そうだ、ラファエロ、お前の店で売っている、プリンというのを、俺に食わせろ。」
ラファエロ「そうしたいが、あいにく既製品は、お前を満足させられるようなのがなくてね。」
ラファエロはドーガにプリンを差し出す。
恵まれた体格のドーガ、その手のひらもかなり大きい。
これなら重い鎧もへいちゃらで装備できるわけだ。
ドーガ「何だ、何だ、この店には、こんなちっこいのしかないのか。」
ラファエロ「だから言っただろう。お前の空腹を満足させられるような大きさのプリンは無いと。
よし、こうなったら、お前のような大男にも食べごたえのある、デカプリンを、用意してしんぜよう。」
並盛では2~3口で平らげてしまうドーガを満足させるようなデカプリンか…。
ドーガ「いいだろう。この俺を満足させてくれるようなデカプリンを食べさせてくれるなら、この村の用心棒になってやってもいいぜ。」
続いて、大盛を用意した。
ドーガ「大盛か、これで大盛か、まあ、このくらいなら普通にいけるな。」
ラファエロ「いや、まだ特盛と、メガ盛もあるから、ぜひ食べてみてよ。」
ちなみに味は考えていない。質よりも量のようだ。
ドーガ「うおっ!?何だ!?これが特盛で、これがメガ盛というやつか!?」
さすがのドーガも、特盛、メガ盛のデカプリンまであることには驚いた。