第4話 まずはプリンから
農村の少女、キキララから飲食店とスイーツ店をやるように勧められた、落武者ラファエロ。
まずは、プリンから始めようかと、思い付いた。
実は落武者ラファエロ=喜多風太陽は、いやどちらかというと、喜多風太陽の方だが、喜多風太陽はとにかく幼少の頃から、プリンが大好きで、よく母親が買ってくるプリンを、朝学校に行く前とかにたべていたからだ。
料理やスイーツの材料となる食材の確保は、農村でまかなえる。というのもこの農村は、小麦から野菜から果物から、何でも生産している、農産物の生産量が世界でも有数ということらしい。
アーサトゥアル帝国は、この農産物を狙って、この農村に攻め入ろうとしているらしい。
名も無き農村と見せかけておいて、実はアーサトゥアル帝国に敵対する国々への、食料供給基地であるということがわかった。
「それなら、プリンという食べ物についても知ってるよな。」
そう思って聞いてみたが、なんと、プリンという食べ物が、どういう食べ物なのかを知らないという。
「それならば、持ってこよう。」
喜多風太陽は、こちらの世界に来てから、こちらの世界と、元いた現実世界とを瞬間移動で移動できるようになっていた。
「それじゃあ、行ってくる。」
そう言って、喜多風太陽は瞬間移動で現実世界の日本へ。
現実世界では喜多風太陽、異世界では落武者ラファエロとして行動しなければならない。
喜多風太陽はなに食わぬ顔をしてコンビニに入り、プリンを何種類か買う。
「いらっしゃいませ。」
そしてなに食わぬ顔で、プリンの代金を払った後、再び異世界へ瞬間移動した。
なお、現実世界でのお金はというと、実は異世界で敵と戦ったり、宝箱などから手に入れたお金を、そのまま現実世界の日本円に換金することができるという、異世界転生者だけが知るという暗黙のルールがあった。
「お待たせー!これが、プリンという食べ物だよ。」
農村の人々にプリンを試食させてみた。
「甘くておいしい!これがプリンという食べ物なのかい?」
落武者ラファエロは、プリンについての説明をする。
ラファエロ「これは、卵と牛乳と砂糖と、バニラエッセンスというのを、混ぜ合わせて作る、
子供のおやつなどとして食べられているものだよ。
それにこの、カラメルソースというのを上にかけたり乗っけたりして食べるんだ。これで独特の味になる。
さらに、ハチミツを混ぜ合わせたり、生クリームを上に乗っけて食べたりすると、なおのこと、おいしくなるから、よかったら是非、試してみてよ。」
しかし、コンビニの市販のプリンでこれだけ上々なら、オリジナルの手作りのプリンとかだったら、どんなものか…。
そうなると、次は材料の確保だ。
しかし心配はご無用のようだ。なにしろこの農村では、農業だけでなく、畜産も盛んで、牛や豚や鶏を飼っていて、鶏卵や、生クリームの原料となる牛乳なども、この村で確保できるという。
さらには、砂糖の原料となるサトウキビまでも、この農村では生産されているという。
まさに至れり尽くせりだ。
ラファエロ「そうなると今度は、この店と、このオリジナルのプリンの名前を考えないといけないな。
そうだ!店の名前は、『キキララのスイーツ』、プリンの名称は『キキララのプリン』としよう!」
最初に依頼してきた少女キキララの名前をとった。