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第2話 飲食店とスイーツ店を開業する話

喜多風太陽(きたかぜ・たいよう)=落武者ラファエロは、どうにか名も無き農村へと落ち延びた。


「はあはあ、ここまで逃げ延びれば、追っ手も来ないだろう。」


この農村の人々は、よそ者を寄せ付けず、ひっそりと、いやのどかに、自分たちの村の中だけで暮らしているような人々だった。

この農村の人々以外の、外の世界の人々は、こんな農村があることさえ知らないような、

外からの転入者もほとんどいないような、まことにもって、実にのどかな農村だった。


気候もよくて、作物もよく育つ。そんな農村に、何年ぶりかの外の世界の人間としてやってきたのが、喜多風太陽=落武者ラファエロだった。


「おやおや、外の世界から人間がやってきたのは、何年ぶりだろうね。」


総人口はわずか500人ほどという。高齢化率も高いこの村だったが、意外にも美女と美少女の多い村だ。


そんな喜多風太陽=落武者ラファエロに話しかけてきたのは、1人の少女だった。


「ラファエロさんっていうんですね。

私はキキララといいます。

実はお願いがありまして、この村で飲食店とスイーツ店をやってもらいたいんですよ。」


このいたいけな少女はそう言ったが、ラファエロは、


「飲食店に、スイーツ店だって!?

顧客はいるのかよ。だいたいこんな転入者もほとんどいないような村で、飲食店とスイーツ店なんて、やれるわけないだろ。」


思わず心ないことを言ってしまった。すると、その少女の祖母と名乗る、ばあやが現れた。


「実はね、この村は表向きは田舎の村だけど、

アーサトゥアル帝国に楯突くレジスタンスの拠点が、この村の近くにあるんだよ。」


アーサトゥアル帝国、と聞いて、ラファエロの顔がひきつった。


アーサトゥアル帝国といえば、ジャパネスク王国を滅ぼした、あの宿敵だ。


また、少女キキララが話しかけてくる。


「ラファエロさん、その格好は紛れもなく、ジャパネスク王国の兵士だった人でしょ?」


なぜすぐにそれがわかったのか?


しかし、とにもかくにも、ここに来たからには、この依頼を引き受ける以外にないだろう。


そしてアーサトゥアル帝国に楯突くレジスタンスという者たちの存在も知った。


なるほど、敵の敵は味方、という考えのようだと、喜多風太陽=落武者ラファエロは思っていた。


農村の周囲には森や山並みが広がり、こちらもやはりのどかな風景であり、手付かずの自然が残る地域。


「あのー、もしよければ、飲食店とスイーツ店の開業の目処がたつまでは、私たちの家に泊まっていきませんか?」


「泊めてもらってもいいのか?

わかった、それじゃあお言葉に甘えることにしよう。」


しかしいずれここにも、アーサトゥアル帝国からの追っ手がやってくるかもしれない。


そうなった時はどうすればいいのか…。


これはラファエロではなくて、喜多風太陽のセリフ。


喜多風「まあ、いよいよという時は、人々を見殺しにしてでも逃げ延びるということも考えたが、

ラファエロとしては、どうやら見殺しにはしたくないようだな。

その時は、レジスタンスが何とかしてくれると思うから。」


ラファエロ「レジスタンスか…。」


喜多風「俺らが飲食店とスイーツ店をやる役割って、レジスタンスの人たちに食事を供給するってことだよな。」


ラファエロ「まあ、そういうことにもなるな。

しかしまあ、いいじゃないか。

それで俺らの提供した料理を食べてもらって、喜んでもらえる、

その笑顔が見られるんだったら、

それが何よりの報酬だろう。」


1人で2人のセリフを言っていることになる。



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