第1話 序章
ここはジャパネスク王国の、王の城。
そこはまさに落城の時を迎えようとしていた。
「ジャパネスクの城が、もうだめか…。」
「あの難攻不落と言われた王国の城が…。」
敵国に攻め込まれていたジャパネスク国王は、大臣ともども追い詰められる。
「もはやこれまでか…。」
そして敵の刃がジャパネスク国王を襲う。
ジャパネスク国王はあえなく敵の刃の犠牲となる。
「ぐはっ…!こ、こんなことでは我がジャパネスク王国は終わらない…。
各地に落ち延びた落武者たちがいるはず…。
いつかきっと、その者たちが…。」
「大臣は連れていけ。」
「国王!国王ーっ!」
ジャパネスク王国の城が火の手に包まれる中、今回の主人公となるのは、落武者の戦士、ラファエロだった。
ラファエロも深手を負い、もはや虫の息。
と、その時だった。誰かの意思が体の中に入り込んでくるのを感じた。
「誰…、だ…。」
「誰だっていいだろ!?俺はたった今こっちの世界に来たばかりなんだ。
電気もねえ、ガスもねえ、車もそれほど走ってねえけど、剣と魔法の世界に来てやったぜ。」
そいつは、喜多風太陽。
ついさっき車に跳ねられて死亡した、いわゆる現代のゲーム好きのフリーターの男。
とにかく暇さえあれば、ゲームをやっている。
最近はスマホゲームを何時間も、それこそ寝る間も惜しんでやっていた。
そのゲームの中でも、特に剣と魔法のファンタジーRPGが好きだという。
こうして、喜多風太陽=落武者ラファエロの旅は始まった。
ラファエロ「なんてこった…。
俺だけがこうしておめおめと生き延びるとは…。」
喜多風太陽「まあ、いいじゃないか、こうして生き延びたんだから。」
ラファエロ「おい、村が見えるぞ!どうやら農村のようだが…。」
喜多風太陽「農村!?」
喜多風太陽=落武者ラファエロは、その農村へと向かっていった。
まだ追っ手が来る。
「逃がすな!追え!」
「敗残兵どもを一人残らず始末しないと。
しかし、まだ見つかっていない者たちもおります。」
「ええい!草の根分けても探し出せ!」
「はっ!ただちに…!」
ここはどうにか、追っ手をやり過ごし、例の農村へと向かう…。