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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十一章 みんなでおばあちゃん家に行こう
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九十六話みんなでおばあちゃん家に行こう⑩(シャロンのお風呂編)




あと風呂に入ってないのはみかん以外の君嶋家の人間とシャロンだけだ。


「シャロン、先入っていいぞ」


俺は言った。


「え、でもわたしはこの家の人間ではありませんから、駄目ですよそんな………」


シャロンは俺の申し出に遠慮する。


「いいから行ってきなよ、俺達は後から入るから」


父さんも促す。


「え、でも………」


だが遠慮するシャロン。その顔は母さんやばあちゃんの方を向いている。


「いいのいいの、こっちは気にしないで」


「子供は遠慮したらあかんよ、行っておいで」


母さんとばあちゃんも優しく言う。


「みなさん………分かりました、行ってきます!」


シャロンが元気に敬礼して部屋を出ていった。風呂に行くだけなのにそんな威勢よくやらなくてもな。


一時間ほどが経過したがシャロンが戻る気配はない。


「なあ、長くね?」


「なにがよ」


俺はアリエに言うが言葉が短すぎて聞き返される。


「あいつが風呂入ってから」


「そういえばそうね」


「一時間ぐらい経つね」


すももさんが言う。


「でも、長い子ならそれくらいちょうどいいんじゃないかしら」


清さんが少し考ええ言う。アリアさんと一緒だったからそれほど長くはなかったが家だと清さんも長く風呂に入るのだろうか。


「ちょっと見てくる」


りんごが立ち上がって部屋を出る。


「わたしも」


アリアさんもそれを追いかける。


「なにやってるのよー!」


すると向こうからアリアさんの叫び声が響いてきた。


なんだぁ?俺は気になって身を乗り出すがいかんせ女子の入浴だ、向こうまで行くわけにはいかない。


「わたしも行ってくる」


すももさんも立ち上がって風呂場に様子を見にいく。


しばらく怒号が飛び交い様子を見に行った三人とシャロン本人が戻ってくる。シャロンは酷く落ち込んだ様子で他の三人は呆れたり怒ったり驚いてる顔だ。


「何があった?」


俺は三人に聞いた。


「ちょっと聞いてよ葉月ー。この子ねえ、人様の家に来てるのにお風呂に桜の花びらとか桜の入浴剤入れてるのよー」


アリアさんが怒って言う。


「え、マジで?」


俺は思わず顔を驚きで止めてしまう。


「桜って本物?」


みかんが言う。そうだ、今の時期は夏だ。夏に桜なんて季節外れもいいとこだ。なのになぜ桜があるのだ。


「それがね、春に集めててそれをずっと冷蔵庫で仕舞ってたんだって、すごいでしょ」


すももさんが両の拳を握りしめて言う。


「あら、それはお洒落ねえ」


清さんもそれには驚く。


「はい、わたし桜は大好きです!桜、日本のいい文化ですよね」


シャロンが嬉しそうに言う。


「でも、桜っていうのは散ってなくなるから雅で美しいもなの。それを保存して季節に関係なく見るっていうのは野暮じゃないかしら?」


清さんがいつになく真面目なトーンで言った。


「でも、夏でも桜は見たいですし………」


だがシャロンは食い下がらない。


「夏に桜は咲かない、分かるよね?」


なんだ、清さんのトーンがさらに下がった?すももさんがアリアさんにつきっきりでそれに嫉妬した時を沸騰させるが何か違う。単なる感情ではない、なにか信念が、強い何かがあった。


「はい………」


シャロンもそれには頷いた。


「ねえ、あの人てあんな感じだった?」


アリエが聞いてきた。清さんはいつも穏やかで笑ってるからな、こいつもこれには意外らしい。


「前に一回だけ似た感じになったんだよ。なんつうか、たまーにプッツン行くっていうか笑顔の裏にやばいの隠してるっていうか………」


俺は清さんに関する秘めたイメージを話した。


「ふーん、笑ってる人ほど怒ると怖いてあるのね」


「で、入浴剤はどうする?一旦洗い流すか?」


りんごが話題を変えた。


「いいよ、俺そのまま入るから気にすんな」


俺はりんごに答えた。


「ごめんなさいハヅキ。わたし、お友達の家に泊まることなんてなかったからつい盛り上がっちゃって………」


シャロンが謝る。


「いいっていいって、人間そういう時あるから。むしろたまには入浴剤の風呂もいいと思ったくらいだ」


俺は笑顔で言う


「ほんとに、ごめんなさい………」


再びシャロンが頭を下げる。

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