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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十一章 みんなでおばあちゃん家に行こう
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八十八話 みんなでおばあちゃん家に行こう②



父さんの車で高速道路を経由して四時間強経った。


「お、そろそろ海が見えるぞー」


父さんの言う通り道路沿いに海が見えてきた。


「海?ほんと?!」


後ろの真ん中の席に座ったアリエが俺の太ももに乗ってきた。


「すごいな」


一番後ろの席でりんごが関心する。


「わー、きれーい!」


アリエが感激に声を上げる。


俺とみかんは毎年見てるので海が見えたくらいでわざわざ声を上げたりはしない。


「重いてアリエ、身体足に乗ってんだけど」


俺はアリエに文句を言った。


「あ、ごめん」


アリエが俺の太ももから移動して俺の両足の間に手を置いた。眼前にアリエの身体があるということでは変わらなかった。


前かがみというなら分かるがその体勢で横に向いてるのはいかがなものか。前かがみで正面を向いていれば胸が見えそうで見えないというロマンがあるが横を向いていてベストのように脇を覆う服を着てると胸が全く見えないのだ。よしんば見える服を着ていても目線の点でまず不可能があった。


「お前、海は初めてか?」


俺はアリエに聞いた。


「初めてだ、海って案外光るものだな」


答えたのはりんごだ。


「お前じゃねえよ、お前に聞いたわけじゃねえから」


「アリエに聞いたのかよ、ちっ」


りんごが舌打ちする。


「駄目だよお兄ちゃーん、彼女以外の女の子にも少しは優しくしなきゃー」


みかんが諌めるように言った。


「めんどくせえの」


俺はふてくされるように言った。


「で、アリエはどうなんだ?」


今度こそアリエに聞いた。


「そんなわけないじゃない。あんたとあたし、同じ海で会ってるんだから来たことあるに決まってるじゃない」


アリエがなにを惚けてるんだという顔で言ってきた。


「お、おう………」


俺は頷く。顔が近い、言動とか態度以前に距離が近い、距離で威圧てあるものなんだな。


「たまに来るのか?」


「別荘があるからね」


「別荘か」


金持ちの家だからか、流石に別荘も持ってるのか。すごいなアリエは。


「別荘?!アリエちゃんの家別荘あるのかい?」


父さんが運転席から振り向いてきた。


「ちょ、父さん前見てよー、事故るからー」


俺は慌てて父さんを注意する。


「おっと、ごめんごめん」


「どんなとこなの?」


母さんが言った。


「海沿いの辺りねプライベートビーチもあるわ」


「プライベートビーチ?」


プライベートビーチまであるのか、金持ちすげえな。


「あ、もしかしてそれで迷子になってお兄ちゃんに拾われたんでしょ?」


みかんがからかうように言った。


「あ、それはあるな。子供の頃てのは結構自由だから近くにあった葉月のいたビーチに迷い込むとかあるんじゃないか?」


りんごがにやけながら言った。


「そんなんじゃないわよ!子供の頃とはいえあたしがそんなドジするわけないじゃない!」


アリエが二人に怒る。


「あ、そう」


りんごが目を丸くして言った。


「ふーん」


みかんはからかいから疑いの表情に変わっている。


「何よその目はー」


「別にー、なんでもないわよー?」


「何かありそうだけど………まあいいわ」


アリエは怪しんだがそれ以上は聞かないことにした。


「あれ、海には行かないの?」


海が視界から消えたのを見てアリエが言う。


「大丈夫だよ、後でちゃんと行くから」


運転席から前を見たまま父さんが言った。


「まずは、お祖母ちゃんの家に荷物置かないとね」


母さんが振り返って言った。


「分かってますよ、それくらい」


アリエはやや怒ったように言う。


「なに、アリエそんなに海行きたいの?」


「子供か」


みかんがからかうように、りんごが呆れたように言う。


「べ、別にいいじゃないそれくらい」


アリエがムッとした。


「また海で変な台詞でも言おうかな」


俺は昔アリエと会ったことを思い出しながら言った。


「それはいい」


「あ、そう」


あっさり断られてしまった。残念だな、面白がると思ったのに。



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