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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十一章 みんなでおばあちゃん家に行こう
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八十七話 みんなでおばあちゃんの家に行こう



「お兄ちゃん、夏と言えばなんだと思う?」


自宅にてみかんが唐突にこんなことを言い出した。


「なんだよ急に」


「いいから答えてよー」


何か企んでそうな顔のみかん。こういう時って何か答えを持ってそうなんだよなー。


「とりあえず、海か?」


「海もあるけどうーん、なんか違うなー」


「海じゃないのかよ…………あ、そういえば」


ピンポーンと、俺の中で黄色い電球が鳴った。今どきの電球といえば白い電球だがこういう時に出るのは黄色い方だ。


「ばあちゃんの家て近くに海あったよな」


俺は閃いたことを言った。


「せいかーい!」


みかんはなぜか指を変な形にして腕を交差した、DAIGOのウィッシュではない。


「あ、て………今年まだばあちゃんの家行ってねー!」


俺は頭を抱えた。なんてことだ、毎年の恒例行事なのにすっかり忘れるなんて、ばあちゃんの孫として情けないぜ。


「お兄ちゃん慌てすぎ、言わなくても分かるし。それをこれから行こうて話をしてるんじゃん」


「そ、そうだな、行こう」


「でも、どうせだからアリエとかみんなも誘わない?」


「いいねぇ、それやるか!」


俺はみかんの提案に乗った。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「と思うんたけどどう?行かね?」


俺はカフェダムールですももさん達にばあちゃんの家に行かないかと誘った。


「やったー!海だ海ー!」


すももさんがテンションを上げて腕を上げた。


「すももちゃんと旅行、しかも海に、すももちゃんの水着………ああ、なんて可愛いらしいのかしら……」


清さんは夢の世界に入ってしまった。


「エーゲ海のような綺麗な海でしょうか………」


シャロンも目を輝かせる。エーゲ海てテレビで何度か見たことあるが日本なんかと比べものにならないほど綺麗じゃなかっただろうか。


「エーゲ海とまでは………行かないかな」


「ていうかいいのかよ、あたし達まで一緒になって」


「そうよ、あんたの家族イベントじゃないの?」


りんごとアリエが心配して言う。


「大丈夫だって、ちょっと人数増えたくらい………」


俺は店にいる親しい人達の数を数える。すももさん、りんご、シャロン、清さん、アリエとアリアさん、六人ぐらい増える。


「あ、これじゃあお父さんの車に全員乗らないじゃない!」


みかんが気づいて声を上げる。


「しまったー、これじゃあ誘っても一緒に行けないじゃん!」


「そ、そんなー!」


「ああ、すももちゃんの水着姿が消えていくわ………」


すももさんがショックで顔の横に両手を押し付ける。清さんは夢から覚めたみたいだ。


「ふ、その必要はないわ」


アリアさんがこめかみに人差し指を置いた変なポーズで言う。


「どうしてです?」


「足りない部分は、この星宝家が車を出すからよ!」


くわっと目を見開いてアリアさんが言った。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



というわけでばあちゃんの家に行く当日、まずは父さんと母さんが俺のアパートに来た。


「久しぶりだな葉月、元気してたか?」


俺の父さん、ちょっといかつい感じのおじさんだ。こう見えてコンピュータエンジニアを仕事にしている。


「うん、近所の人も優しくて色々助かってるよ」


俺は父さんに答える。


「そっか、それは良かったな」


「みかーん!」


母さんがみかんを見つけるなり彼女に抱きついた。


「心配したのよー!家に中々帰らないから誘拐にでも遭ったのかと思ったんだからー!」


そして泣きながら訴えた。


「お母さんちょっと、苦しいんだけど。締めすぎ」


みかんが悲鳴を上げる。


「母さん、それみかんがこっちに来た時言った台詞だよね?電話でも言ってまた言うの?」


俺は鬱陶しくなって母さんに言った。


「えー、そう?でも娘が自分の目の届かないところに行くて大変なのよー、親が娘を心配して当然じゃなーい」


母さんが強く言う。


「そ、そうだね………」


心配なのは分かるが正直面倒なので適当にあしらうことにした。


「そうそう、葉月は大丈夫?一人暮らしで大丈夫?何か困ったことない?」


今度は俺の話をしだした。


「大丈夫だって、近所の人も優しくて助かってるって言ったでしょ!」


面倒というかもはやうざい。


「そう?本当になにもない?大丈夫?」


母さんが念を押してくる。


「だから大丈夫だって言ったでしょ!二度も三度も言わせないでよもう!」


うざすぎてこめかみにしわが行くレベルだ。心配性も度が過ぎると迷惑だぞ!


「なあ、そっちの子はもしかして………」


父さんがすももさん達に目を向ける。


「こんにちはー!息子さんにはいつもお世話になってます!」


すももさんが元気に挨拶する。


「こんにちは」


父さんが挨拶を返す。


「この人、俺のバイト先の人で間宮すももさん。こっちが妹のりんご、留学生のシャロン・カリティーヌ。りんごとシャロンとは学校が同じなんだ」


俺はさらに清さんやアリエ、アリアさん、アリエとアリアさんのメイドの薫子さんを紹介していく。薫子さんてアリエ専用のメイド


「アリエとお兄ちゃんはね、付き合ってるんだよ」


みかんがいたずらっ子のような顔で言う。


「ちょ、みかん余計なこと言うなよー」


俺は心底やめてくれという顔で言った。


「余計ってなによー、せっかくお父さんと会ったんだから紹介しなきゃー」


「そうだけどさー」


「おー、葉月も彼女が出来る歳になったかー。しかも髪がき、金色でメイドさんがいるお家の子か?」


父さんがアリエを相手に萎縮してしまっている。


「えっと……息子さんにはいつもお世話になってます」


アリエも緊張気味に父さんに話しかける。まあ彼氏の父親だから、緊張して当然か。


「お、おう。こちらこそ息子が世話になってるよ」


「ねえ、息子が何か迷惑かけてない?あなたに変なこととかしてないかしら?」


母さんがアリエに話しかける。


「母さんは黙ってて」


俺は母さんを睨みつけながら言った。


「でも」


「いいから黙ってて」


これ以上母さんに必要ないことを喋らせる気はない、ストレスが溜まるだけだ。


「えっと、葉月との交際だけど君のお家の人はなんて言ってるのかな?」


父さんがアリエに言う。


「ご心配なく、祖母の祥子様はお二人の関係を快く思っています。ご両親との対面はまだですが祥子様がきちんと伝えております」


そう伝えたのは薫子さんだ。


「そ、そうですか。それは良かった」


「挨拶はいいからそろそろ行きません?」


りんごが急かすように言う。


「そうだね、えっと俺の車に乗るのが………」

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