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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
十章 夏編
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八十一話 夏だし、プールに行かないか?



ミーンミーン、外ではセミが鳴っている。完全に夏だ、かなり暑い。当然店ではエアコンを利かしている、あまり寒くならないよう温度は抑えめだ。


「もう夏だなー、セミも鳴ってるし」


俺はアリエの方を見ながら言った。


「そう………ね。夏だし、どこか行きたいわね」


アリエが顔を赤くしながら言った。俺はそれにうんうん頷く。


「そうだなー、プールでも行くか?」


「いいねー!行こ行こ!」


反応したのはアリエじゃない、すももさんだ。


「馬鹿ね、あの子は、そんなつもりで言ったんじゃないの」


アリアさんがそれを否定する。


「どういうこと?」


「大方、デートでも考えてたんだろ?」


りんごが俺に聞いてくる。


「ま、まあそんな感じ?」


「でしょ?だから、邪魔なんてしちゃ駄目よ」


「はーい」


アリアさんは釘を指すがすももさんは分かってなさそうな返事だ。絶対ついてくる気だ、遊園地の時もりんごを連れてストーキング&盗撮をしたくらいだからな。


「で、いつ行く?明日?」


「え、明日はちょっと………」


俺が聞くとアリエは躊躇うような顔を見せる。


「なんだよ、用事でもあるのか?」


「違うわよ、そんなんじゃないわ。いい?女子ってのは男と違って色々準備がいるの、分かる?」


アリアさんが割って入る。


「いや、てか………水着買ってなかったっす」


俺は恐る恐る言った。


「へ?」


「え?」


「別に水着とか学校で使ってるので問題ないだろ?」


りんごが言う。


「よくねえよ。プライベートなんだし派手な水着でも着させろよ」


俺は反論した。流石にあの紺だが青の無地の水着をプライベートに使うのは嫌だ、小学生じゃないんだしもう少し派手にしたい。


「あら奇遇ね、実はわたしも妹の水着買ってあげようと思ってたのよ」


「買ってくれるの!?」


アリアさんの言葉にアリエに反応した。なるほど、準備と言うのはアリエの水着を買うことだったらしい、女子なら毎年水着を変えてもいいくらいだしな。


「もちろん。どうせ、あなた一人だと何買えばいいか迷っちゃうじゃないかって思ったからお姉ちゃんが付き合ってあげようかなって」


「余計なお世話だし、水着くらいあたし一人で買えるわよ」


アリアさんがからかうようなことを言ったのでアリエも突き放すように言った。


「まあ、葉月となら行ってもいいけど………」


そして目だけこっちを向いて顔を赤くしてきた。


「く、可愛いやつめ、逆らえねぇ………」


「な、人前でそういうこと言ってんじゃないわよ!」


ドン!とどつかれた。


「あれ、俺口に出してた?」


「出てたわよ、思いっきり」


「マジか……」


とうとう表情どころか口まで勝手に動くようになったか、これは不味いな………。


「ということは、お二人は水着を買うところからデートを始めるんですね!」


シャロンが目をキラキラさせて言った。


「お、おう………」


「そう、なるわね」


「羨ましいです!そして二人は浜辺で指輪を交換して、愛を誓い合うんですね!」


「いや、それ海だから。俺達が行くのはプール、海じゃない。あと愛を誓うてそれ結婚だから、気が早いよー」


俺はシャロンのお花畑な妄想に突っ込みを入れる。


「あ、ごめんなさい、わたしの勘違いでした」


「ま、いずれはそうなってもらってもいいんだけど?」


アリアさんが俺も含めてからかうように言った。


「ちょっとお姉ちゃん!」


これにはアリエも黙っていない。


「ま、考えときます」


彼女の姉を前にいい加減な答えは出せないのであくまで前向きということにした。


「葉月……」


アリエは恥ずかしそうに俺を見た。


「まあ、お前が他に男でも作んない限りありえないけどな」


「なに言ってんのよ!あたしはこれからも葉月一筋よ!それよりも、あんたこそ他に女なんて作んじゃないわよ」


「分かってるよ」


「見てて恥ずかしいやり取りだな」


「いいじゃない、初々しくて」


りんごとすももさんが言う。悪かったな、恥ずかしいやり取りで。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



数時間後、アリエと双葉パークの水着売り場に来た。ここなら男ものの水着だろうが女ものの水着だろうがちゃんと置いてある。


「俺はあっちで選んでるからお前はお前で自分に合うの探しててくれ」


「分かった」


水着がいるのは俺も一緒だ、最初から二人揃ってうろつくわけにはいかない、そんなことしたら時間がかり過ぎる。


俺は男性向け水着売り場に向かう。む、男とはいえ色々あるな。トランクス型の柄物、はよくあるタイプだな。裾の幅はパターンもいくつかあるな。胴体まで覆うタイプもある、男なのにか、オリンピックとか競泳水着でたまに見るが柄物が混じってる辺り趣味で着るやつがいるらしい。あとは………なんだこれ、三角になってるのが混じってるぞ、ブーメランパンツてやつか?いや、これはやめよう、水泳選手か一部の変態ぐらいしか使わないだろう。


となると………トランクス型だな、これが一番無難だな。柄は………と、いいもの見っけ、これにするか。森の中にいる感じがいいな。そういえばアリアさんが新設にもお小遣いくれたな、一応俺もバイト代貰ってるし余計なお世話なんだけどな。


「妹とのデートに使う水着なんだから変に安物買われても困るのよ」


とかアリアさんは言ってたが。金はあるし、会計でも行くか。おっと、アリエの水着もあるんだ、カゴを先にしよう。カゴを取り、アリエを探す。


「お、なにかいいの見っけたか?」


俺は水着を眺めるアリエに声をかける。


「えっと………これとこれ、どっちがいいと思う?」


アリエは水着を二つ取り出した。どちらもワンピース型でフリルがついえいる、形状は同じで違うのは色だけか、黄色と白だな。私服のワンピースも黄色だったな。よし……………。


「こっちだな」


俺は黄色の方を指す。


「分かった、試着してくる」


「おう」


アリエが試着室に入るのを見守る。着替えが終わり、試着室のカーテンが開く。


「どう………かな?」


アリエが恥じらいながら聞いてくる。黄色のワンピースがアリエの金髪と相まって魅力を高めていた。


「うん、似合うんじゃないか?似合ってると思うよ」


俺は恥ずかしさにやや顔を逸らしながら言った。


「なによ、褒める時くらいちゃんと目見て言いなさいよ」


「に、似合ってるよ」


俺はアリエの正面に向き直って言った。どうもこういうのは苦手だな。


「当然でしょ!あたしなんだから似合って当然じゃない」


アリエがふんぞり返る。こういうのも可愛いく思えるほどこいつに愛着が沸いてきたな。

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