五百九十三話 付き合いはじめた新井とすもも。そして未来へ
受験までの間、すももさんと新井が付き合いはじめた。
「はー!?マジで!?前々から怪しいと思っていたけどマジで!?」
それを聞いた時俺は思わず声を上げた。
「ありえない…………両片思いじゃなかったの?」
アリエもぼそりと呟く。
「おいおい、やめてくれよそういうのは。親友を快く祝ってくれてもいいじゃないか」
新井は腕を広げて困り果てる。
「うんうん、ちょっと残念だなー」
すももさんも口を尖らせた。
「すごいです!おめでとうございますー!」
「あたしは前から聞いてたから驚かないし祝わないぞ」
拍手するシャロンと違いりんごは仏頂面だ。
「でもま、いいことなのは認めるよ。あとは大学受験、頑張れよ。デートにうつつ抜かして落ちても知らないからな」
俺は新井の肩に手を置いた。
「お、おう。て、いきなり脅かすなよ」
新井は怯えたような顔になる。
「冗談だ。かくいう俺は真面目過ぎて禁断症状出たけどな」
俺は舌を出してやった。
「お前さ、そういうキャラだっけ」
「親友が付き合うんだ、こうもなるさ」
新井に意外そうに言われるが心外には思わない。
「うーん、てっきりすももちゃんはわたしと結婚すると思ってたんだけどなー」
さらっと清さんが爆弾発言をしていたが無視だ。聞いたらおかしくなる。
「葉月くんは当然だけど、新井くんもすももを泣かせたら承知しないわよ」
アリアさんが俺たちに注意した。
「肝に命じます」
「は、はい………」
冷静な俺と違い付き合いたての新井は怯えながら言う。
それでも俺たちは前に行くさ。必ず料理学校に受かって喫茶店で本格的に働いてみせる。




