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五百九十二話 葉月の誓い
「馬鹿ね、あんたはあたしがいないとなんもできないんだ」
アリエはすごく嬉しそうな顔で言った。
「ああ、恥ずかしながらな」
言ってることは恥ずかしいのに俺はなぜか嬉しくなってしまう。
「へえ、そうなの」
そのままニヤニヤしながらアリエはケーキを食べていく。
時間が進みレストランに来た。俺でも行ける安価な場所だ。
「俺さ、やっぱり真面目に喫茶店やりたいよ。だからなんてしても料理学校に行く。でもお前ともできるだけ一緒につもりだ」
そこでハンバーグを食べながら俺は言った。
「わざわざ言わなくても分かるわよ。でも、聞かせたってことはそういうことなんでしょ」
アリエはちょっとうざそうな顔をすると聞き返した。
「ああ、絶対やってみせるよ」
これは誓いだ、彼女と俺との、そして喫茶店との。




