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五百九十話 久しぶりのデートの約束
アパートに帰った俺はアリエに電話した。
「遅くに悪いな。今、話せるか?」
そう言う俺の舌は乾いていただろう。
「なんの用?」
答えるアリエの声は心なしか震えていた。
「明日の夕方、時間あるか?」
「えっ、でも勉強で忙しいんじゃ……」
アリエは察しがいいがすぐに躊躇いの言葉が出た。
「たまにはな。だからどっか遊びに行こうぜ」
「馬鹿、遅いのよ!」
アリエは怒っているがどことなく嬉しそうな声だ。
「ごめん、俺が悪かった」
「悪いと思ってるなら絶対満足させなさいよ!」
今度は嬉しそうな声が全開だ。なんだかこっちも嬉しくなっちまう。
「ああ、約束する」




