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五百八十八話
「アリエちゃん、いらっしゃい」
「来たのか」
だがアリエは次の日も現れた。機嫌の悪いから来ないとは思ったが。いや、今も機嫌は悪いが。
「いつものカフェモカでいいか」
俺は恐る恐る聞いた。
「今日はブレンド」
「分かった」
機嫌の悪い彼女に詳しく聞くつもりはない、黙って準備を進める。
「え、我が主大丈夫ですか?!ブレンドは苦いですよ?いつもカフェモカの主が飲んで平気ですかぁ!?」
シャロンが思わず甲高い声でアリエに聞いた。
「うるさい、いいから持ってきなさいよ」
「うう、ごめんなさい」
アリエのきつい言い方にシャロンも思わず怯えてしまう。
「コーヒーなら今準備してるがどういう心境の変化だ?」
今度はりんごが聞いた。
「別になんにもないわよ。あいつに構ってくれなくたって逃げる気はないってだけ」
アリエは不機嫌なまま答えた。




