五百八十四話 星宝家の風呂②
「ねえ葉月、今いい?」
今度はアリエが浴室に入って来た。こちらは服を来ている、流石に結婚前に馬鹿な真似はしないだろう。
「ん?別に大丈夫だけど?」
妙に慎重だなと思いながら話に傾ける。
「あたしね、葉月と付き合って良かったって思ってるの」
「な、なんだよ急に改まって、何かあるのかよ」
いつにない台詞に俺はむずがゆくなった。
「だって、お父様もお母様もあんなに楽しそうだったもん。葉月はきっといい人よ」
「ああ、そう。それは俺も良かった」
詳しく聞くとやはり恥ずかしくなる台詞だ。
「うん、だからあたしのこと泣かせたら二人もお姉ちゃんも黙ってないから」
「お、おう………」
アリエは笑顔のままだが言ってることは恐かった。
「ま、あれだ。ここまで来たらお前とは余程のことがない限りずっと…………まあ余程のことは来るかもしれないがそれまでは一緒だ」
俺はアリエを安心させようとしたが心の迷いから無理が出てしまった。
「どういうことよ?何かあるの?」
アリエは不機嫌になってしまう。
「いや、そろそろ受験だしなって。あんまゆっくりしてると落ちそうで恐いんだよ」
「ごめん。あんたにとってはかなり大事よね」
理由を話すとアリエは落ち込んでしまった。
「だから、一緒にいれる間は思いっきり遊ぼうな」
「ええ、絶対離さないんだから」
俺はなんとかさっきのカバーをした。アリエも笑ってくれてる。カバー、できたよな?




