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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
8章 みかんとのお別れパーティ
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五十七話 僕とカフェダムールの日常(学校帰りの学生達の客の話)

今回はメインキャラを集めてこの物語の世界における日常の話をします。




さあ、ここからはカフェダムールにやってくる変わった客達や俺達のカフェダムールのスタッフとしての話をしよう。時間軸はほとんどが四月だ。だからこの店にはまだ俺達が苦労して作った可愛い制服もないしアリエと仲が良くなってもいない。


店員もさることながらこの店には様々な客がいる、その一人が新井一希だ。記憶力のあるやつなら覚えてると思うが俺の小学生時代の学友にして高校時代の学友でもある。りんごやシャロンとも同じ高校だ。おまけに言うと俺達が初めて店に招いた時に店の奥でラーメンを食わすという鬼畜プレイをした相手が新井だ。


彼はおちゃらけた性格でいつも俺達を笑わしていた。それは昔も今は変わらない。そしてそれはカフェダムールでも発揮されるのか、見てみよう。


「ぐっもーにん、えぶりばでぃ!」


どう聞いても日本語にしか見えない発音で言いながら新井が店に入っていく。流暢な英語というのはやはりアメリカやイギリスにでも行かないとならないのだろうか。


俺はりんごやシャロンと共にさも新井とは無関係ですよという顔しながら中に入る。新井の付き合いではない。元より俺達三人はこの店のスタッフだからな、こいつが勝手について来ただけだ。まあここに来るまでに雑談などをしていたが。


この店の客は定年退職した元会社員や暇を持て余した主婦が多いが夕方になるとごく希に新井のような学生も学校終わりに寄ってくるのだ。


「いらっしゃい、今日は何飲みます?」


すももさんがお冷を出しながら言う。


「そうっすねぇ、今日はー、でへへへ………」


新井がすももさんの大きな胸をガン見しながら言う。鼻は伸び、口や目の端はだらしなく垂れ下がっている。これは美人を見る男子がまれに陥るエロい顔である。顔がエロいんじゃない、エロいもの、色っぽいものを見るとなるだらしない顔なのだ。


「はあ、俺は行くぞ」


俺は制服のジャケットを脱ぎ衣紋掛けに掛けるとエプロンをつける。


「ブレンドを一つ、ブラックで」


新井がやたらかっこつけた音程で言った。いい声に聞こえるんだが絶妙にイケボになりきれていないのが残念だ。わざわざ最後にブラックと付けるあたりが余計に残念でならない。ブレンドは出されたばかりだとブラックに決まってるのだが。 美人相手にかっこつけようとして事故ってるタイプだな。


この店の客には三月末以降、コーヒーではなく店のスタッフを目当てに来るやつもいる、俺も最初は客としてすももさんに会いに来ていた。すももさんは店のオーナーである絹江さんの孫娘で両親が交通事故で亡くなってからここで働くようになったのだ。


ひとたび店に入れば彼女の美貌の虜にならない男はおらず、店の常連になることを余儀なくされるのだ。すももさんには妹のりんごもいるがすももさんのが明るく朗らかな性格なのですももさんのがモテている。


だがすももさんとりんごが店を手伝い初めて少し経つと店の人間に気に入られた俺やシャロンも店側の人間として採用され俺達を目当てに来る客もいるのだ。俺は男なので当然俺目当てで来る客は女性が多い。


店に入った時も………


「あら、葉月ちゃんおかえりー。学校どうだった?」


と白髪の生えた婆さんに声をかけられていた。


「まあ、ボチボチですよ」


それに対し俺は笑顔で返す。ここまでテンプレである。ただ元の客層が客層なせいか俺目当てで来るのも主婦や中高年の人がほとんどで常連の人が俺がいる時間にもよく来るようなったというぐらいでティーンエイジャーは店にすらほとんど来ない。


「葉月、そこのボウヤにブレンド出してあげな」


「了解です」


すももさんが注文を取ると同時に絹江さんが俺に指示を出す。俺はやかんを沸かしブレンドと書かれた紙の貼られた入れ物から豆を取り出しコーヒーミルに入れハンドルを回す、すると下の方に粉となったコーヒー豆が落下していく。土台があるのでバランスを崩すことなく刃のある上部分から粉の入るプラスチック部分に落下していく。


チェーン店だとコーヒー豆を煎ったり焙煎する時は機械を使うがこの店は謎のこだわりで手動でやっているのだ。煎る前の入れ物にあるのは既に焙煎済みのもの、流石に焙煎から注文を受けてからやると時間がかかり過ぎるらしい。


「はい、ハヅキ」


「ああ」


シャロンが差し出したサーバーの上に重なったドリッパーとフィルターの上に豆の粉末を入れる。こっちが豆を煎ってる間に淹れるまでの段階まで用意する、見事な連携プレーだ。注文が増えると手が回らなくなり出来ないが注文がコーヒーだけの時は可能な技である。


「君嶋葉月ー!」


新井用のブレンドコーヒーを淹れていると店の扉が開き甲高い声が響いてきた。装飾の多い学生服に青い瞳、綺麗な金髪をツインテールにした15歳ほどの少女、星宝アリエだ。新井同様、数少ないティーンエイジャーの常連でこちらは俺を目当てに来るやつだ。それは俺がイケメンだから、ではなく過去に俺と会いその時の俺の振る舞いが原因で今日まで気に入られている。


家はメイド喫茶スターというチェーン店を営んでおりここの近くにも店舗がある。彼女の祖母でそこのオーナーは絹江さんの長年のライバルらしい。顔や髪が西洋人じみてるのはハーフだかららしい。


相変わらず元気だなぁと思いながらアリエを一瞥する。


「今日はカフェモカをいただこうかしら」


カウンターに座りシャロンに出されたお冷を飲みながらアリエが言う。


「今日はっていつもだろ」


「葉月、それ終わったらカフェモカ用のクリームとチョコソース用意しな」


絹江さんがすかさず指示を出す。


「承知!」


「いつもと同じ注文でも敢えて言うの、枕詞みたいなものよ」


アリエが言う。


「そんなもんかねぇ 」


「金髪ツインテールっ子に銀髪ロングっ子、ゲームから出てきたみたいな美人が二人もいるとかこの店がゲームの世界みたいだよなぁ」


新井がアリエとシャロンを見て言う。銀髪ロングというのはシャロンのことでシャロンはフランスから来た留学生だ、アパートは俺の部屋の隣に住んでいてみんなで彼女の引越しの手伝いをした時に絹江さんが採用することにしたんだ。


日本文化が好きで日本のアニメや漫画で日本語を勉強しているので日本語も普通に話せる。


「あんた相変わらずキモいね………」


りんごが新井に引いている。すももさんの妹のりんごはすももさんと違ってあまり笑わない、と言っても全く笑わないというわけでもなく嬉しいことや面白いことがあるとちゃんと笑う。ただし、彼女の笑いは派手なものではなくほとんどが少し口元がニヤッとするだけで知らない人間が見たら何か悪いことを企んでるのではと思われる笑みだ。


「ていうか姉貴はいいのかよ、姉貴は」


「確かにすももさんは美人だ。けど、シャロンちゃんとアリエちゃんのがもっと美人だ。なにしろ銀髪ロングと金髪ツインテールだからな!銀髪だの金髪だのてテレビかゲームとかでしか見ねえだろ普通、こんなレアな美人他にいねえぜ」


りんごの問いに新井が力説する。俺は同意するように何度も頷いた。


「まあ、すももさんくらいの美人なんて学校の一クラスに一人て割合でいそうだからな」


「えー、葉月くんまでそんなこと言うのー?」


すももさん本人が言う。


「しかも性格が残念ですし」


「うぐ………」


俺の言葉にすももさんがダメージを受ける。すももさんはそこそこの美人で愛想笑いも出来て朗らかな性格でもあるが反面、残念な部分もある。一見朗らかに見えるが一緒にいればいるほどの性格の大体が残念な部分で占められていると実感する。どう残念かは長くなるのでここでは割愛しよう。


「反面、シャロンやアリエは比較的おとなしい性格ですからね」


「そ、そう?あたしっておとなしい性格かしら?」


アリエが顔を赤くして言う。


「ちょっと偉そうなとこもあるけど割とおとなしい方だよ」


「そう?なら、もっとおとなしくしてみようかしら………」


「それはそれで興味あるな」


「でも、たまにスモモの元気が羨ましく思える時があります」


シャロンが言う。


「シャロンちゃん、ありがとー!そんな風に思ってくれるなんて感激だよー!」


すももさんが涙を流しながらシャロンに抱きつく。黙ってればただの美人なものを、こういうことをするから騒がしくなるのだ。


「い、いえ、わたしは素直な感想を述べただけですから………」


シャロンもそんなすももさんに苦笑いで応えている。けど、そんなすももさんだからこそ好きになれるのかもしれない。ただの美人で収まる枠ではない、それがすももさんだ。


「新井、出来たぞ」


俺はブレンドを新井に差し出す。


「おう、ありがとな」


新井が湯気の立つコーヒーの臭いを嗅ぎながら悦に浸る。感度が良くなるかは知らないがわざわざ鼻を膨らませて臭いを嗅いでいる。臭いなんてそんなことしても変わんないだろうと思うが新井は毎回これをしてからコーヒーを飲む。


新井はコーヒーを口に含むと一瞬、顔をしかめたがすぐに美味いという顔をした。


「お前、よくそのまま飲めるよなぁ」


俺はカフェモカ用のブレンドにチョコソースとクリームをかけながら言った。


ここのブレンドは苦めの味で砂糖やミルクを入れない到底飲めたものではないはずなのになぜか新井は少し顔をしかめる程度で飲めるのだ。


「なに言ってんだよ君嶋ぁ、コーヒーはブラック!これに決まってるだろ!」


新井が親指を立てながら言った。


「いるよなぁ、たまにそういうやつ。で、それで昔からやってるからここのブレンドもブラックで行けるわけか」


「そういう、こっとー」


ことの部分を歌うように言って新井が二本指を離してピースサインにした。


「ほらよ、カフェモカだ」


俺はアリエにカフェモカを差し出す。


「ありがたく飲ませてもらうわ」


少し大仰な言い方でアリエがカフェモカを飲む。そのまま飲むと口の周りにクリームが付くまでお決まりだ。それを見ると思わず笑ってしまう。


「なによ?あたしのなにがおかしいって言うの?」


アリエが不機嫌に言う。


「別に。ただカフェモカ飲むお前って、可愛いよな」


口元のクリームのことは伏せて言った。


「か、かかか可愛い?!あたしが!?」


耳元まで顔を真っ赤にしてアリエが言う。動揺しすぎだろおい。


「なにせあ、いや、とにかく今のお前は可愛いよ」


いかんいかん、危うくクリームのことを言いそうになってしまった。言ったら間違いなくクリームを拭かれて今の可愛いさが台無しになるからな。


「そ、そう?べ、べつに嬉しくないんだからね?」


そう言うとアリエはカウンターの後ろを向いてカフェモカを飲み始めた。後ろを向いても耳まで赤いので顔を隠しても無駄である。頭隠して尻隠さず、いや、ここは顔隠して耳隠れずだな。


「えっと、葉月くんてあたしのことが好きなだよね?」


すももさんが遠慮がちに言う。


「まあ、そうですね」


好きだとか付き合ってくれと言った気がするがそれはまだ出会ってばかりの頃でシャロンやアリエと会う前な気がする。


「なのに他の女の子口説くとかひどいよー、わたしと付き合ってくれるってのは嘘だったのー?」


泣きそうな声ですももさんが言う。


「口説く……………?あ…………」


何の話だ?と思ったが耳を赤く染めたアリエを見て合点が行った。


「いや、ていうか再三言いますがすももさん俺が付き合ってくれて言った時断ったじゃないですか」


そして俺はこう返した。


「あー、そうだったー!あたしのばかばかー!」


すももさんがガンガンと頭を壁に打ち付けながら叫ぶ。うん、馬鹿はほっとこう。


「こんにちはー」


今度は黒髪の和服美人が店にやってくる。すももさんの大学の友達で清さんと言う。清と書いて”きよ”と読む。名字も大鳳という荘厳なイメージの名前だ。大学は高校までと違って授業を自分で選べるらしいのでいつもすももさんと一緒に帰ってくるとは限らないのだ。


『いらっしゃいませー!』


俺達スタッフが新たな客に挨拶をする。すももさんを除いて。


「あらあら、今日も賑わってるわねぇ」


清さんが壁に頭をぶつけて固まってるすももさんを見て言う。普通なら壁に頭をぶつけてる人間がいたら驚いて言葉も出ないが清さんなら賑わってるの一言で済ませられるおおらかさと余裕を持っている。


「お茶、いただこうかしら」


清さんがとろけるような声で言う。すももさんが平凡の中に光る星なら清さんは貴族畑の中から出てきた見る者聞く者全てを魅力する美貌と声の持ち主である。元の素材だけでここまでの美は完成しないと思うほどのものだ。おそらく、家が茶道か華道の家元をやっていてそこで幼い頃から様々な所作や振る舞いを叩き込まれたのだろう。


「紅茶しか出ないけどね、いつものでいいかい?」


「はい、お願いします」


清さんの目の前にいた絹江さんが受け答えをする。常連の場合、細かい注文をしなければわざわざ商品の名前を聞くということはしないようだ。


「ああ、すももちゃんがなにか悩ましいそうに壁に頭をぶつけている。なんて可愛いらしいのかしら…………」


手を頬に添え、熱っぽい表情で清さんが言う。あの光景を見て驚かないどころか官能的な顔を見せるとかどうかしている。おおらかとか余裕などというものでは済まされない。


そう、すももさんに騒がしいという残念な部分があるように清さんにもただの美人で収まらない部分がある。それがこの、ズレた美的感覚である。友達であり同性であるすももさんを色っぽい目で見たり俺のことをすももさんのお気に入りという理由で目をつけたりりんごや他のスタッフ、さらには新井にも色っぽい視線を送るという女なのに男のナンパ師かというくらいの見境の無さがあるのだ。実は頭の中で俺達を使ってあらぬ妄想をしてるんだとか。


「ゴクッ、ゴク………」


清さんが席に座ったのを見ると新井が慌ててコーヒーを飲み干す。ブラックに慣れてるとはいえ流石に無茶である。


「か、会計頼む」


空になったコーヒーカップを置いて新井が言う。


「すもも、いつまでほうけてんだい。さっさと会計しな!」


「はーい」


絹江さんに言われてすももさんが動く。


「あら、もう行っちゃうの?」


清さんが新井に言う。


「は、はい。もう、コーヒーは堪能したかなって………」


新井が緊張気味に言う。美人好きな新井でも清さんだけ苦手らしい。


「あら、残念ね」


「お前まだあの人に慣れないのかよ」


俺はささやくように新井に言う。


「いやだってなんかあの人、俺のこと食ってきそうなんだぜ?」


「食う?」


「よくわかんねえけどなんかヘビみたいにまとわりつくっていうか全身蜘蛛の糸まとってるていうか……………」


たとえが既に狂気のレベルだった。見ようによっては清さんの本性は相当危険なのかもしれない。


新井が会計を終えて言う。


「じゃ、じゃあまた明日」


「ああ、またな」


紅茶が出され清さんが口に含む。その動作はゆっくり、自然に、慌てず騒がずである。その動き一つでバックに花の大輪でもありそうな美しさをまとっていた。


「あら、今日は可愛い女の子もいるのね」


「ひうっ」


清さんに一瞥されアリエが怯えるように清さんとは反対の向きになる。清さんが恐いのは新井だけではない。アリエの場合強いスキンシップをされてトラウマにもなってるのだ。


「やめてください!恐がってるじゃないですか!」


俺は思わずアリエを庇うように言った。正直俺も清さんには恐怖を覚える時がある。


「まだ何もしてないのにぃ」


いけずぅという感じに清さんが言う。


「ねえ、前から思ってたけどあの女なんなの?」


アリエがその向きで話しやすい位置にいたシャロンに言う。


「さあ?スモモのご友人ということしか聞いてませんけど………」


「あたし、あいつ恐い」


アリエが珍しい言葉を口にする。お化け屋敷でもあからさまな不審者でもないのに年下の少女に恐いという言葉を言わせる、それが大鳳清だ。


ゴールデンウィークになると二人は普通に話しているらしいがそれまでに何があって普通に話せるようになったかは大きな謎である。


「ごちそうさま、今日もおいしかったわ」


アリエが空になったカップを置く。その顔を見て流石に苦笑いしてしまった。


「なによ、あたしの顔に何かついてる?」


アリエは俺の苦笑いの理由に気づかないでいる。


「いい加減口のクリーム拭けよー」


俺はおしぼりを一つ取るとそう言いながらアリエの口元をぬぐった、因みにテーブルを拭いているものとは分けたものだ。


「あ、ありがとう」


アリエが頬を染めて言う。


「どういたしまして」


「ああ、なんて可愛いの!まるでお人形さんみたいじゃない!」


それを見て清さんが言う。アリエの口元のクリームを拭いた後ではなくその瞬間に言う辺り彼女の狂気が出ている。


会計を済ませアリエが出ていく。


「ふう、これで若い子は店の子だけになっちゃったわね」


清さんが寂しそうに言う。その目が既に俺達をロックオンしてるので寂しそうというのはあくまで表面上というのが見て取れる。


「楽しい時間はあっという間。ああ、なんて儚いの………」


うっとりした声で言う。ああ、騙されないからな、俺は騙されないからな。そうやって俺達を毒牙にかけるんだろ?そう決まっている。


「だよねぇ、お菓子とか食べてても気がついたらなくなっててもう食べれないんだもんねぇ」


すももさんが同調するように言う。清さんの前で普通でいられるのは友人のすももさんだけだ。むしろその騒がしい性格が彼女の力を削いでるのではとさえ思える。


「それはちょっと違うわね」


清さんが平坦な調子で言った。


「違うの!?」


「たとえるなら、夕日の中のキスシーンみたいなロマンチックなものよ」


絶対違う、清さんのそれは絶対違う。さっきの清さんは蜘蛛が自分の糸にかかった獲物を見てさあどう食べようかて舌なめずりするのに近いと思う。


「夕日のキスシーン…………」


すももさんがその光景を頭に思い浮かべる。


「ごめんなさい、わたしが、わたしが悪いんですぅー!」


シーン変わったー!断崖絶壁にお詰められてるよその人ー!船〇英一郎が事件の事情を説明してお前が犯人だって言われてるシーンだよね絶対!?


「ぷっ、ふふふ、ははははははは!ほんと面白いわねすももちゃんて」


これには清さんも爆笑ものだ。普段は出来るだけ派手な笑いはしないよう心がけてもすももさんの天然ボケの前には絶対無意味、防御など容易く貫通する!


「く、くくく…………」


「ははははははは!」


「ふふふふ…………」


だめだ、俺達も笑いを堪えきれない。攻撃力が高いどころか範囲まで広すぎる。スタッフの俺達も客の主婦や爺さん婆さんまで巻き添えだ。ありえねぇ、こんな爆笑ありえねえ。


「げほっ、げほっ!」


むせて咳き込んだ。


「ちょ、葉月くん笑い過ぎー!」


「すももさんこそ自分で笑ってるじゃないですかー!く、くく…………あー、だめだこれ」




「今日もありがとう、楽しませてもらったわ」


清さんが空のカップを置くと会計をして店を出ていく。




さて、今回の話はここまでにしよう。これがカフェダムールのスタッフと常連達が織り成す日常だ。それはありふれた日常でありながらあまりに賑やかかつ楽しい非日常とも言えるひとときだ。てなわけでまた次回!

今回もお読みいただきありがとうございます。ブックマークや評価もお願いします

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