五百七十四話アリエの部屋
写真撮影も終わりアリエの部屋に案内された。黄色を基調としたカーテンに天蓋付きのベッドだ。服と同じで黄色が多い。
「ふー、はー」
俺は無意識の内に深呼吸していた。
「な、なにしてんのよ…………」
アリエを驚かせてしまった。
「あ、ごめん。ちょっと緊張して………」
ラノベではよく女の子の部屋に入った主人公が儀式のようにやっていたがそんな感覚はまるでない。女の子の部屋の空気など分からない、むしろ全身で感じ過ぎてワカラナイ!
「あんた、女子の部屋来るの初めてじゃないわよね」
アリエが確認する。初めてではないとはみかんの部屋のことだろう。
「家族と彼女だと違うんだよ。ここは未知の世界だからな」
冷静になり再び部屋を観察する。勉強机もクローゼットもあるのにまだ余裕がありそうだ。本棚も大きくその一冊を見ると少女漫画らしきタイトルだ。
「へー、お前こんなの読むんだな」
俺はその漫画を取った。表紙のイラストもそれらしいものだ。
「ちょっとなに取ってんのよ恥ずかしい!」
アリエは顔を真っ赤にして漫画を取り上げた。




