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五百六十二話 星宝家にはアリエが大好きな女の子執事がいる②
するとその女の子執事がギロリと睨んできた。
「お前がお嬢様の彼氏を気取る男か」
「気取ってねえよ!」
「たっ」
まんま彼氏だよと続けようとしたらアリエが彼女の頬を叩いた。あまりのことに俺は口をあんぐりと開けて固まってしまった。
あ、あのアリエが、わがままは言うけど暴力だけは振るってこなかったあのアリエが、人を引っぱたいた!?
「あんた、葉月の前どころか葉月本人になんてこと言ってんのよ!クビにするわよ!」
そしてまたアリエは怒った。
「す、すいませんお嬢様!」
「あたしじゃなくてこいつに謝って!」
理恵さんは謝るがアリエは怒ったまま俺の方を向かせる。
「君嶋様、このたびは本当にすいませんでした!」
理恵さんが今度は俺に頭を下げた。
「あ、うん。あんま気にしなくていいから。ま、ほどほどによろしくな」
俺は苦笑いしながら答えた。




