五百五十六話 星宝家へ行く準備
そして数日後、アリエの家に行く日になった。やべえ、なに着て行けばいいんだ?お嬢様の家だぞ?
タンスから出してはこれじゃないと戻していく。中々いいのが見当たらないな。
「どうしたのお兄ちゃん、今日アリエの家に行くんでしょ?早く着替えないの?」
するとみかんが急かしてきた。彼女も今日はいつもと違いお洒落なシャツとスカートでおめかしだ。
「うるさい、今それで悩んでるんだよ」
俺は眉を潜めてみかんを跳ね除ける。
「あーあ、お兄ちゃんは情けないなー」
そしてみかんはクローゼットを開けた。そこでジャケットが目に入った。彼女はそれを取り俺の前に持っていく。
「これでいいじゃんこれで」
両親だっているのに普通の服でいいわけない、ならばジャケットが正解だろう。うん、これでいい。
「お前、たまにはいいことするな。助かるよ」
俺は思わず彼女を褒めた。 普段は俺とアリエを邪魔したり馬鹿にするだけに気分がいい。
「たまには余計よ。あたしはお兄ちゃんの妹だよ?いいことならいつもいいに決まってるじゃない」
みかんは自慢に笑ってきた。いつもの小悪魔っぽいものと違ってすっごい頼りになる笑みだ。
ピンポーン
そうやってジャケットを着ている内にインターホンが鳴った。
「じゃ、行くか」
俺はみかんを誘う。
「うん。アリエのお父さんとお母さんに失礼のないようにね」
「お、おう………」
服装はちゃんとしてるのにまた緊張してきたな。大丈夫か?




