五百四十八話 夕飯はバーベキュー
「葉月、そろそろ行くわよ」
しばらく俺たちは思い思いに遊んでいるとアリエに話しかけられた。周りを見るといつの間にか夕日が差し込んでいる。
「そだな、みんなも呼ぶか」
俺は立ち上がって言った。
「他のやつはいいわ。あたし達だけで先に行くわよ」
「どういうことだよ」
俺はアリエの言葉が分からない。
「いいから行くわよ」
分からないながら俺はアリエに伴われる。
アリエの別荘まで戻ると黒い脚のついたテーブルと木製のテーブルがあった。いや、黒い方はテーブルではなかった。網の乗ったコンロだったのだ。
「まさか、バーベキュー?」
「そうよ。高校最後のやつとか最初のやつもいるし記念にやってみたかったのよ」
アリエが俺の言葉を肯定すると理由を話した。
その言葉に俺は自然と笑みが零れてしまう。そしてアリエの頭をわしゃわしゃと撫でた。
「やるなぁお前、俺だけを連れて来たのはサプライズってわけかぁ!」
「ちょっとやめなさいよ!子供じゃないのよ」
アリエが顔を真っ赤にして俺の手をどかす。
「わりぃ、じゃあ…………こうで」
だがこの感動を伝えないわけにはいかない。今度はハグをした。
「ええっ!?今度はなによ………別に嫌じゃないけど他のやつが…………あああああ!やっぱ離れなさいよー!」
アリエは今度は満更でもない顔をしたが薫子さんと藤丸さんに見られてることに気づくとまた顔を赤くして押しのけてきた。
あー、なんか残念。




