五百四十七話
「アリエちゃん泳ぐの苦手なんだ」
梨子ちゃんが何気なくアリエに聞いた。
「悪い?」
アリエは不機嫌なまま答える。
「うーん、アリエちゃんて基本そっけないからこういう弱点があっても可愛いかも」
梨子ちゃんはからかう素振りはなく純粋な気持ちで言った。
「馬鹿………そんなんで可愛いとか言われてもつまんないわよ」
そう言うがアリエは頬が染まっていた。
「アリエは可愛いですよ!なんたってわたしの主ですよ!可愛いに決まってます!」
さらにシャロンが梨子ちゃんを支持する。
「馬鹿っ!あんたまでなに言ってんのよ!」
アリエの頬はさらに染まる。
「我が主の可愛さはわたしが保証します!安心してください!」
「ほんとなに言ってんのよもう、褒め殺す気?!」
追撃を食らいアリエは困惑する。
「シャロンさん分かってるねー。うんうん、アリエちゃんほど可愛い人はいないよ。金髪碧眼てのもあるけどクールでいながら時折出る年相応のギャップがいいんだよね」
梨子ちゃんが頷きながら言う。
「あんたはあたしの何を知ってるのよ………」
アリエはあまりの態度に呆れてしまう。
「そりゃあバイト先が一緒なんだから色々知ってるよ。スイーツが好きとか彼氏さんと離れると禁断症状になるとかえっと………」
「もういいもういい!あたしのことを知ってるてのは分かったからいいわよ!」
梨子ちゃんが具体例を上げると二つ目でアリエが慌ててその口を塞いだ。俺でも初めて聞いた話ばっかだな。




