五百三十六話
俺はアリエとプライベートビーチに出てきた。
「お前、なんだってこんなとこに?」
少し歩いて俺は聞いた。
「笑わない?」
「笑うようなことかよ。まあ、お前が真面目な話すんなら俺は気にしないけどな」
アリエは慎重に言ってきた。
「せ、セックスの次の朝の海って憧れてたのよね」
少し顔を赤くするととんでもないことを言ってきた。
「な、お前っ、なんてもんに憧れてたんだよ!」
俺は思わず顔を真っ赤にして叫んだ。
「悪かったわね、とんでもないことで。みかんが見せてきた漫画にそういうのがあったのよ」
アリエはわけを説明した。
「あいつのせいか、なにやってんだよたく………」
妹のやらかしたとんでもない影響に俺は眉を潜めた。
「で、どうだったんだよその朝ってのは」
俺は気を取り直して聞いた。
「すごく、綺麗………ずっと見ていたい気分」
アリエがはにかみながら言った。
「綺麗、か。ま、言われてみればそんな感じだな」
いや、綺麗という言葉じゃ足らない気がする。なんだこの感じ、アリエの言うずっと見ていたいってことなのか?かなり不思議な感覚だ。




