五百三十話 アリエの別荘行き二年目20(すももさんのトランプ手品)
「はいはい!あたしやりまーす!」
梨子ちゃんが元気に手を上げた。
「はい、じゃあこれで印付けて」
彼女はカードを選ぶとすももさんにペンを渡されそれにハートを三つ描いた。
「え、三つでよくない?」
「やだなあ、女の子はいかなる時もオシャレを欠かさないんだよー?」
みかんが疑問に思うと彼女はからかうように返した。いや、いくらなんでもやり過ぎだ。そう思ってすももさんを見るとこいつ、できる!という顔だった。
「おー、なるほど。すごいね梨子ちゃん!」
山崎に至っては声に出して関心してしまっている。
「でしょー、先輩も見習います?」
「そりゃーもちろんだよ!」
梨子ちゃんが得意げになると山崎は歓声を上げた。なんかめんどくさい同盟が出来た気がする。
すももさんが梨子ちゃんから印のカードを受け取り束の上に乗せる。
「はーい、じゃあ混ぜまーす!」
すももさんが言葉に合わせカードをシャッフルする。
「じゃ、さっきのカード出すよー」
「は、なに言ってんの?混ぜたんだから簡単に出るわけないじゃない」
すももさんの言葉をアリエが否定する。
「黙ってみてなさい」
そんな彼女にアリアさんがピシャリと言う。
「ふっ、認識が甘いね。それが出るどころが表になって出るんだよー」
だがすももさんはものともせずもったいぶった。
「どうせ、何か裏があるんだろ」
「ま、手品の基本だね」
だが飯山とマイクは冷めた目で見てしまっている。




