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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
7章 アリエもみんなと出かけたい
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四十九話

久しぶりの更新




みんなで双葉パークに出掛けた次の日、俺とみかんかカフェダムールに行くと先に来ていたアリエがつっかかってきた。


「ちょっと、どういうことよ!」


「お兄ちゃんこいつ誰?」


「なっ………」


みかんの言葉でアリエは早速出鼻をくじかれてしまう。


「あーほら、昔祖母ちゃん家行った時迷子の女の子と家の人探してやったって話したろ?」


俺はアリエとの出会いをみかんに説明した。


「あー、あったねそんな話。これがその時の?すごい偶然だね」


アリエとの再開は初めて事情を聞くみかんが思わず笑うほどの偶然だったようだ。


「それでその迷子さんがお兄ちゃんになんの用かなー?」


みかんが子供をあやすようにアリエの頭を撫でる。


「子供扱いすんじゃないわよ!」


「あら残念」


みかんはアリエに手を跳ね除けられてしまう。そもそもアリエはみかんとあまり背丈が変わらないのでみかんに撫でられるというのはあまり似合わない。


アリエが俺を指さして言う。


「君嶋葉月!あたしもその双葉パークとやらに連れて行きなさい!」


「なんで?」


「なんのために?」


わけがわからない。アリエの家は金持ちのはず、なのにわざわざ俺に連れて行ってもらう場所など…………いや、まさかな。


「シャロンとかあの女とかあの女とかあなたの妹は一緒に連れて行ったのになんであたしだけ仲間外れなのよ!あたしも連れて行きなさいよ!」


そんなことだろうと思った、これまでのシャロンの俺に対する態度から薄々分かっていたがまさか本当にそんな理由とは。


彼女の気持ちは分かるが、俺の方としては分かりたくはなかった。


「あのさ、そもそも俺とお前友達だっけ?」


「あ、あああっ……………」


俺の言葉でアリエはショックを受け後ずさりすり。向こうには心苦しいが言うしかない、やつと俺とでは友ではない。家族でも恋人でもないのに友ではない人間を遊びに連れていくことはない、つまりはそういうことだ。


「でも、シャロンはあたしのこと友達だと思ってるわよね?」


アリエがシャロンに言う。シャロンはアリエとよく話してるし友達と言っても問題ない。


「いえ、ただのよく来るお客さんですが」


シャロンのその一言でアリエの精神は完全に死んだ。


「さい、あくだ………」


俺はともかくアリエと親しげに話しているシャロンならと思ったがまさかこんな返しをするとは。


「はあ…………えっと、あなた。名前………はいいとしてあたし達とどこか出掛けてもいいけど?」


みかんがため息をつきつつアリエに言った。家の妹が思わず同情するほどとは。星宝アリエ、可哀想な子…………。


「星宝、アリエよ…………」


みかんに連れられアリエが出口に来る。


「いや、その前に代金払えよ。コーヒー飲んでるんだろ」


俺はそのまま店を出ようとするアリエに言った。


「そうだったわね………」


重い足取りのまま席に戻り、コーヒーを飲み干すとレジに向かった。


俺もレジにいるすももさんの元へ向かう。


「すいませんすももさん、今日はもう帰ります」


「帰るっていうかその子とおでかけ?」


「ええ、まあ………」


「そんな、わたしという人がいながら…………」


まずい、すももさんの顔が嫉妬と孤独に歪んだ。これは来るぞ!


「葉月くんの浮気ものー!」


叫び声を上げてすももが住居スペースに消えて行った。


「やれやれ………」


俺はその様子に肩をすくめるしかなかった。


「あの、お会計…………」


アリエが声を上げる。せめて仕事は一段落してから消えてくれ。


「たく、しょうがないなぁ」


りんごが代わりにレジに現れた。


「わりぃ」


俺はすももさんの代わりに謝った。


「気にすんなし、いつものことじゃん。えっと、これでいいのか?」


「ええ」


りんごが代金置き場のお金を確認する。


会計が終わり立ち去ろうとするアリエにりんごが声をかける。


「今度あたしともどっか行ってもいいけど…………」


その言葉にアリエが振り向いた。


「考えとく」


こちらから顔は見えないがその声は少し恥ずかしそうだった。

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