四百九十八話 すももの好きな人と遊園地のチケット
「そうそう、町の会合で遊園地のチケット貰ったんだけど友達と行ってくるかい」
その朝、絹江はすももとりんごに言った。
「わーありがとー!シャロンちゃんと葉月くんも誘おうよ!」
すももははしゃいでりんごに言う。
「いや、ここは新井も入れよう」
だがりんごは別の同行者を提案した。
「え、五人?五人とか入るかな。あ、これ四人までてある」
すももはチケットの有効人数を確認する。
「ならあたしはパスだな、新井と四人で行ってこい」
「え、りんご行かないの?りんごも行こうよー」
りんごが遠慮するとすももは彼女を誘う。
「いいから新井と行ってこい。あいつとデート、してないんだろ?」
「で、ででででデート!?デートとか別にいいよ!」
りんごが言うとすももは言葉を噛んで動揺する。
「デート?すももあんた、男が出来たのかい?」
絹江さんも興味が出る。
「男だなんてそんなんじゃないよ!ちょっと気になるだけ」
「そんなんだからいつまで経っても出来ないんだよ。折角いいやついるんだからものにしておけ」
すももが否定するとりんごは強く言う。
「人を行き遅れみたいに言わないでよ、わたしまだピチピチの大学生だよ」
「だったらそうなる前に捕まえておくんだな」
すももが自分の若さを主張するとりんごは釘を指した。
「で、すもものお気に入りはどんな子なんだい?」
「あたし達の同級生の新井ってやつだよ」
絹江に聞かれりんごはすもものお気に入りの男の名前を答える。
「ほう、あの子が……」
彼は常連なので絹江がその顔をイメージするには早かった。




