四百九十五話 かき氷と夕とみかん
「ごめんくださーい」
「来ちゃった」
次に俺たちが出迎えたのは夕さんとみかんだ。
「あら夕ちゃん」
「みかん」
清さんとアリエが二人を呼ぶ。
「お前らかよ、確か今日はバイトじゃないのか?」
俺は思わず二人に聞いた。今頃は庵々にいるはずである二人がここにいるのはおかしい。
「お客さん少ないのでお祖母ちゃんに言って来ちゃいました」
「いやー、あそこは融通効いていいねぇ」
二人は経緯を説明した。
「いいのかよ。で、かき氷食いに来たんだろ。なに食う?」
俺は二人を席に案内しかき氷のメニュー表を見せる。
「あたしはオレンジかな」
「共食いか!」
みかんが間発入れず言ったので俺は突っ込んだ。
「いいじゃない別に、官能的で」
「かんのっ。相変わらず恐いな我が妹は」
みかんの言い方を含めて妖艶な言い方に俺は思わず仰け反ってしまった。
「わたしは抹茶でお願いします」
「あ、甘処の人も抹茶なのね」
俺は夕さんの注文を取る。
今回のかき氷は俺とシャロンが作り俺が持っていった。
「うふ。ありがと、お兄ちゃん」
「いただきます」
二人がかき氷を受け取る。みかんはなぜかスプーンではなく器を持ち舌を氷に持っていく。れろ、れろれろとかき氷を舐めていく。食べ方が妖艶だ、というかエッチぃ。
「え、なにその食べ方」
「変わった食べ方ですね」
俺の驚きにシャロンが続く。変わったどころじゃないがな。
「いいじゃないそれくらい」
「いや、普通に食べなさいよ普通に」
みかんは動じないがアリエはないないと手を振る。
「でも、美味しいです」
夕さんは冷たさと味を身体に染み込ませるようにじっくりと食べていた。うん、こういうのでいいんだよこういうので。




