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四百七十六話 梅雨時は常連達が集まる③
「すももさーん」
マイクの隣では新井がすももさん相手に手を振っている。
「はーい」
すももさんはそれに気づくとにこりと微笑む。別に会話なんてない、ただ声を聞かたかっただけだ。それなのになんだこの熱量は、一度見てしまえばそれに圧倒され集中力が削がれるような感覚だ。
すると俺の目が塞がれ熱が途切れる。
「やめなさい、あまり見たら飲まれるわよ」
後ろからアリエの声がした。
「そうだな、ありがとう」
俺は息を吐いて言った。りんごが微妙な顔で俺たちを見てる気がしてるがなぜだろう。
「こんにちはー」
「うす」
山崎と飯山が来店した。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃい晴海ちゃん、海女吏ちゃん」
俺とすももさん、りんごが出迎えた。
すると山崎と飯山は俺とアリエ、すももさんと新井の三方向を交互に見た。
「ここ、喫茶店………だよね?」
「そうだよ、なに飲む?」
山崎が戸惑いながら聞いてくる。その態度に俺も一瞬戸惑ったが注文を取った。




