四百六十九話
「で、今日はどんな感じだったんだ?」
りんごやシャロンが飯山と山崎と出かけた日、俺は二人に聞いた。
「偉く連れ回されたよ、あたしは着せ替え人形じゃないっつうの」
「人のおもちゃにされるのは溜まったものじゃないわよー、人のこと言えないけど」
「いろんな服が見れて楽しかったです」
「ま、良かったんじゃない」
くたびれた顔で言うりんごと山崎に対しシャロンは華やかに、飯山は落ち着いて言う。
誰ががお出かけを楽しんだのか違うのかが悪わかりだ。と額面通りの言葉なら認識出来るが…………。
「そう言う割には楽しそうだな」
俺はりんごに言った。なにしろあの言葉を放った後の彼女は口元が緩んでいるのだ。
「ま、あいつらとどこかに行くこともあまりなかったしな。あそこはかなり広くて色々行かせてもらったよ」
「はい、プリクラも撮りました」
りんごが肯定するとシャロンが続く。クールに装っているがりんごの口元まだ緩みっぱなしだ。
「それは言うな、恥ずかしいだろ」
りんごはしかめっ面でシャロンに言った。
「リンゴも楽しんでたじゃないですか」
「だから恥ずかしいんだよ」
「そうそう、結構楽しかったよ」
「プリクラも悪くないんだな」
シャロンが続けるとりんごはしかめっ面のまま返した。山崎と飯山も乗った。
思わず俺は鼻から息が漏れた。あのクールなりんごがねえ。




