四百五十九話 海女吏はコッペちゃんが欲しい
スタッフによりうさぎの巨大ぬいぐるみが取り出されると海女吏は別の筐体を見ていた。
「どうした?」
「べ、別になんでもないし!」
りんごは海女吏に気づいて声をかけるが答えない。
「ほう?」
「へえ、あんたこういうの好きなんだぁ」
「およー」
りんごとシャロンが筐体の中身に関心すると晴海はからかうような口元になる。そこのぬいぐるみはコッペパンにつぶらな瞳が描かれた手足の生えたコッペちゃんというキャラクターだった。
「す、好きじゃないし!勝手に決めんな!」
「ふん、素直じゃないやつめ」
顔を赤くする海女吏をよそにりんごはニヒルに笑い筐体に百円を入れる。
先ほどのものよりサイズは小さいためさほど時間がかからず手に入った。
「ほら、受け取れ」
「うぐ、コッペちゃーん!」
りんごに差し出されると海女吏は羞恥心というものが消え失せた。実はこんなものが好きとは言えなかった。こんなギャルはいないと思っているからだ。
だがその可愛いものはガラスを超え目の前に現れてしまった。海女吏は己の欲に従いコッペちゃんを抱きしめる。




