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僕とカフェダムールの喫茶店生活  作者: 兵郎
6章 双葉パークに行こう
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四十五話




りんごは何だかんだで先ほど立ち読みしていた本を買うべくレジに向かった。残った俺とみかんはすももさんとシャロンを探すことにした。


すももさんは〇川系の本の売り場のところにいた。一心に棚を見詰めておりどれが見定めているようだ。りんごと違い、立ち読みをするということはない。


「すももさん」


「あ、葉月くんにみかんちゃん」


俺はすももさんに声をかける。


「なに見てたんですか?」


「いやー、f〇teの漫画って色々あるんだねって」


すももさんに言われて近くを見るとf〇te系の漫画がズラズラーッと並んでいた。無印にU〇W、ヘ〇ンズフィール、ゼロ、ソシャゲのアンソロジー、プ〇ズマ、ア〇クリ、フ〇イク、その他スピンオフ、本当に様々な種類がある。


「本当に、色々ありますね」


俺はあまりの数に言葉を無くした。


「全部集めようとしたらお金が大変だね」


「そんな馬鹿な真似する奴なんているわけねえだろぉ」


みかんの言葉に俺は笑って返した。


「え、駄目なの?!」


ガバっとすももさんが振り向く。


「買う気だったんですかあんた…………」


俺はすももさんの無謀さに驚いた。


「あんたなんて所詮、喫茶店の孫娘でしょうに。そんなにお金あるわけないじゃない。というかそれ全部買ったら何万になると思ってるのよ、普通に暮らしててそんなの足りるわけないじゃない」


みかんも思わずすももさんをあんた呼ばわりして言った。


f〇teの本は種類もさることながら、それぞれが何巻ものシリーズになっていて一つのシリーズを揃えるだけでもかなりの額になる。


「だよねえ。じゃあ、とりあえずこれかな」


すももさんが取り出したのはア〇クリファの一巻と二巻だった。まだ出来たばかりなのかこのシリーズはまだ二巻までしかない。


「あ、それにしたんですね。確かアニメ化の噂も出てるっていう」


「小説版だと完結してるらしいけどね」


みかんが言った。


「そうなの?」


あー、すももさんが反応しちゃったじゃないかー。大丈夫かなこれ。


「確か全部で五巻だったと思います」


「じゃあギリ買える?」


「よーし、じゃあ行こう!はい、みかんちゃん案内してー」


すももさんは話を聞くとみかんの背中を押した。


「え、ちょ、わたし別に小説版の場所知ってるわけじゃ………」


急に背中を押されみかんは戸惑ってしまう。


だが悲しいかな。小説版の話を始めたのはみかんだ、みかんに頑張ってもらおう。



みかんを先頭に俺達はライトノベルの売り場に移動した。


「多分この辺りだと思うんですけど………」


みかんが迷うように言う。


「f〇teてライトノベルなの?」


「ラノベとは聞きませんけど挿絵があるみたいなんで多分この辺かなって」


すももさんの問いにみかんが答える。


俺も目的の本を探してみる。漫画が〇川なのだから小説版も〇川のラノベと一緒にあるはずだ。


「あ、ありましたよすももさん、この上のとこです」


俺は棚の一番上の段を指す。棚はそれほど高くなく背伸びすればみかんでも届きそうだ。


「あ、ほんとだ。ありがとう葉月くん!じゃああたし、これ買ってくるね!」


「はーい」


すももさんは俺にお礼を言ってレジに向かった。


「あたしも売り場探したんだけどな………」


「みかんもありがとな」


俺はすももさんの代わりにみかんにお礼を言いみかんの頭を撫でた。




残るはシャロンを探していると向こうから出てきた。りんごも一緒だ。


「あ、ハヅキにミカン、ここにいたんですね」


「ああ、さっきまですももさんと一緒にいた」


「じゃあスモモは今会計をしているということですか」


「てかお前はなに買ったんだ?でかい本みたいだけど」


俺はシャロンが両手に持ってる紙袋を見ながら言った。


「これですか?これは城の本です、日本の各地にある城の特徴が詳しく解説されてるんですよ」


「へー」


俺は紐つきの紙袋から本を取り出して説明するシャロンに相槌を打つが表紙を見てもいまいちよく分からない。城とか難しいネタにはちんぷんかんぷんだ。


シャロンは日本文化でも特にアニメが好きなようだがどうやらそれだけではなかったらしい。


「ところでリンゴはなにを買ったか知りませんか?さっきから聞いてるのに教えてくれないんですよー」


シャロンが首をかしげ顎に指を当てたポーズで聞いてきた。どうやらこの二人は同時に会計を済ませたわけではなさそうだ。


「あー」


俺は思い出そうとしたがりんごがシャロンの後ろでバツマークを作ったり口に人差し指を当てたジェスチャーを送ってきた。


要は言うなということである。俺とみかんに見つかった時も恥ずかしそうにしていたので彼女の名誉のために口をつぐもうかと思ったがみかんが先に口を開いた。


「りんごが買ったのは世にもはばかれる類の本よ」


「ええっ!リンゴ、そんな本を買ったのですか?!」


「まあ、はばかれるっちゃあはばかれるな………」


シャロンの反応にりんごがたじろぐ。


流石にこれは言い方が不味かったかもしれない。


「シャロン、もしあなたがそれを知るならば禁断の果実に触れることになる。最悪りんごに殺されるかもしれない、それでもいいというなら止めはしないわ」


「そこまで、なのですか?」


みかんの脅すような言葉にシャロンが怯える。


俺はみかんを見る。


あ、これは楽しんでる目だ。相手が怯えたり恐怖を感じる様を心の底から嘲笑う愉悦の瞳だ。俺も似たようなな瞳で何度も迫られていたので知っていた。


「いや、殺すほどやばくはねえし。流石にそれは言い過ぎだから」


どうだか。


りんごはそう言うが俺はりんごの自室本棚のカーテンで隠れた部分にシャロンが触れようとした時のことを思い出したばかりだ。


「ところでハヅキとミカンは目的のものは買えましたか?」


シャロンがこちらに話題を振ってきた。


「ああ、バッチリゲットしたぜ」


俺とみかんは雑誌の入った紙袋をバッと見せる。シャロンのと違ってセロハンテープで止めるタイプの紙袋なので中から取り出すのは少し手間なのでそのままで見せた。


「それは良かったです、あとはスモモと合流するだけですね」


「それももうじき終わるだろ」

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