四百五十七話 クレーンゲームとマジシャンズレディユウカのフィギュア③
さらに百円を入れ今度は箱の下部分を掴み立たせる。当然その向きでは上まで上がらず倒れる。
「あー、やっぱりだめですー」
シャロンが悲痛な面持ちで言うと箱は倒れ穴へと入っていく。
「ほえ?」
「おー」
「へえ」
シャロンはなにが起きたか分からず晴海は賞賛の拍手を送った。海女吏も思わず声を漏らす。
りんごは筐体の下から箱を回収して言う。
「ま、こんなものだ。テレビでたまにクレーンゲームの特集やってるから出来たが」
「きゃー!りんごすごーい!天才よ天才!クレーンゲームの天才よ!」
「天才てほどでもないだろ、こんなのちょっとかじったやつなら誰でも出来る」
晴海が感激のあまり抱きつくがりんごは謙遜する。
「いやいや、テレビで見たからって簡単に出来るもんじゃななくない?」
「そういうものか?」
海女吏はりんごの言いようと技術に驚くがりんごはなお大したことないと言う。
「そうだよ、すごいよりんごは」
「分かったから頬ずりやめろ」
晴海は感激し過ぎて頬ずりを初めてしまった。
「え、どういうことですか?なにが起きたんです?」
シャロンだけは何が起きたか分からなかった。
「大したことじゃないと言ってるだろ。普通に掴むんじゃなくて箱の外を掴んで転がしてまた転がすっていう二段構えでやったんだよ」
「はあ、ほえー」
りんごに説明されるが首を傾げながら間の抜けた声を出すだけだ。
「分かってなさそうね、あたしもわかんないけど」
その様に晴海が言った。




