436/594
四百三十五話 大福と薄皮茶色饅頭
大福を口に含むと独特淡い甘さの中から強い甘さがやってきた。うむ、いつもは甘いものと言えばたい焼きやどら焼きぐらいしか食べないがこういうのも悪くない。こういうのがあと何種類もあるのかと思うとそそるなー。
アリエを見るとそちらも大福を食べていた。少しずつ口に入れて頬張る姿は小動物みたいで可愛かった。
「なによ」
無言で見つめたため睨まれてしまう。
「いや、女子の食事って可愛いなって」
「はあ?食事ぐらいでなに 言ってんの?!意味わかんない」
彼女は困惑しながらも満更でもなさそうだ。清さんがそんな俺たちに言った。
「ふふ、二人って本当に仲がいいのね」
「余計なお世話よ」
「だ、そうで」
アリエがむっとすると俺は肩を竦めた。
「あらまあ」
清さんは口元に手を当て笑った。
俺は今度は薄皮の茶色饅頭を取った。かじってみると大福より薄い甘さの後にあんこの甘さが来た。結局はあんこだが過程が違う。違うからこそあんこに感じる甘さも別のものとなる。大福は柔らかいイメージだがこちらは手堅いイメージだ。ううむ、悪くない。




