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四百三十三話 御幸白百合公園での昼食
「お茶も終わりましたしみなさん、お昼にしましょうか」
清さんのお祖母さんが鼓を開けると中からお萩や饅頭、大福が出てきた。
「え、食べていいんですか?」
「ええ、たんとお食べなさい」
俺の問いにお祖母さんが答える。
「いいの?!やったー!」
みかんがいきなり出て騒いだ。
「お前どっから湧いて出た!さっきまで遠くにいたろ」
その速さに俺は思わず声を出した。だがみかんはあっけからんと答えた。
「いいじゃーん、だって食べていいって言うしー」
「ねえ、葉月の弁当はいいの?」
アリエが気を効かせてくれた。俺はバッグの中の荷物を取り出す。
「そうだな、一緒に食べるか」
袋の紐を緩めおにぎりを取り出す。
「あらあら、おにぎりなんて日本人らしいわね。葉月くんが作ったの?」
清さんがおにぎりを見て言う。
「まあ、買うより安いですから」
「立派ねえ、一人暮らしだと料理も得意なのかしら」
「うむ、最近の男児は料理も自らするのか」
「偉いですわ」
「ど、どうも」
清さんだけでなく茶会の客人にまめ褒められ俺は恐縮してしまう。




