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四百三十二話初めての茶会
清さんのお手本の後で俺たちはやることになる。お祖母さんが立てたお茶をゆっくり持つ。
「い、いただきます」
そう言う俺の声は震えていた。そして縁を口に触れる。え、どこまで飲んでいいんだっけ。ゴクッゴク、のどだけが動く。
「け、結構なお手前です」
茶碗を差し出す。これで、合ってるのか?
「あらまあ緊張しちゃって、気楽でいいのよ」
清さんが朗らかに笑う。く、なんな悔しい。
アリエの番になり彼女がお茶を受け取る。
「いただきます」
彼女は慣れた様子でお茶を飲んでいく。
「結構なお手前で」
終わり文言や茶碗の差し出し方も小慣れていた。
「あら上手ね」
お祖母さんが彼女を褒める。
「お前、慣れてるな。昔やってたから覚えてるのか?」
俺は関心を口にした。
「そうみたいね、自分ではやってたこと忘れてるけど」
アリエは自分でも分からないと言った。




