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四百二十八話 葉月とアリエよりも前の運命
「なんかあの人苦手」
苦手とは清さんのお祖母さんのことか。
「苦手って初対面だろ」
「わかんないわよ、でもなんか苦手な気がする」
「あら人見知り?その歳で情けないわね」
みかんが嘲笑う。その歳でブラコンが抜けない子が言ってはいけない。
「アリエちゃんて星宝アリエちゃんかしら」
清さんのお祖母さんが言う。
「なんであたしの名前知ってるの?」
アリエが言う。そうだ、清さんは下の名前しか言っていない。なのにこの人は苗字まで当てて見せたのだ。
「そっか、アリエちゃんがわたしのお茶会に来たのは小さい頃だったわね。忘れててもおかしくないわ」
「お前、知り合いだったのか」
「あら、わたしも忘れていたわ」
俺が驚きの声を出すと清さんがさらに驚きのネタが飛ばしてきた。
「なにそれ、幼少期からの運命てやつ?多分それって俺と会う前の話だよな。てことは俺なんかより強い運命で結ばれてるてことじゃねえか!どうすんだよ俺!」
俺はとんでもない事実に発狂した。




